『相手に「伝わる」話し方』池上 彰

人に何かを伝えるためには、どう表現したらいいのか?それを池上節で追求した一冊。

人生そのものが生放送であり、見返し・読み返しができない、ライブトークショー。終わりが来ればそこでおしまい。だからこその、手間暇を掛けた事前準備と入念なリハーサル。語り口(書き方)はもちろん分かりやすいが、近年、選挙特番(ただしなぜか選挙前にはやらない)で百戦錬磨の政治家共をバッサリ切る「池上無双」と呼ばれる鋭さも行間で光る。

著者が、現場の報道記者からお茶の間の人気テレビ司会者になっていく初期に経験した、失敗と挫折、組織内部の重圧や環境の変化。それらの経験を踏まえた、他者の気持ちを汲んだメッセージの伝え方が、わかりやすく説明されている。

久米 宏『ニュースステーション』、筑紫 哲也『News23』が人気だった頃の、かなり昔の本だが、構成や図式化・具体化など、基本的な考え方は今でも十分通用する。