ブロックやミュートのやりすぎは諸刃の剣
Twitterアカウントをブロックするツールを紹介しておいていうのも何ですが、使い方についてはもう一つ注意しておきたい点があります。
それは、ブロックもミュートも、やりすぎると情報のダイバーシティーを阻害する要因にもなって、結果として自分にプラスにならないかもしれないということ。いわゆる、自分をここちよい防御の泡の中に閉じ込めてしまうフィルターバブルであり、閉じた世界でいつまでも巡る残響音が正解であるかのように勘違いするエコーチェンバー現象です。
自分が誰かをブロックできるということは、当然、人からされることもあります。タイムラインに罵詈雑言が渦巻くとはいえ、片っ端からブロックしていると、段々、自分が受け入れられるだけの世界しか見ないように、視野を自分で狭めてしまうことになります。蛸壺の心地よさから出られなくなるかも。
私が、Twitterのブロック機能を使うようになったのは、14年のTwitter歴からするとかなり遅めだった気がします。というのも、Twitterに限らず、適度なノイズやグラデーションこそが豊かさを生むと考えているので、ミュートはしてもブロックはできればしたくなかったんです。自分と見方や考え方が違うだけかもしれず、たまたま勢いで酷いことを書いているだけかもしれないし、ヘイトスピーチのアカウントをフォローしている人が似た考えを持っているとは限らないし、何より自分だって似たようなもんだし :'(
ただ、ここ数年はそうもいっていられないほど酷いですよね。ヘイトや攻撃的なツイートをする人のアカウント情報まで見にいくと、どうもそんな牧歌的な人物ではないことが、段々と目に付くようになってしまいました。他者を攻撃したり、犬笛を吹いてターゲットへの攻撃を誘導することで、自分のプレゼンスを維持する人がいます。プロフィールで宣言しているヤバい人もいるし、完全にガチ。このTwitter Block Chainも、津田大介さん @tsuda が使っているとツイートしていたのを見掛けて、使ってみた次第です。
今までのところ、私が先回りでブロックされていることはあまりありませんし、影響力がない私宛に直接、攻撃してくる人もほとんどいません。ただ、フォローしているアカウントへの誹謗中傷やクソリプが酷いTwitterの様子は、とにかく目に余ります。世界で第2位のアクティブユーザー数がいるにも関わらず、何の管理権限も持っていない「離島の営業所」であるTwitter Japanが、適度なゴミ掃除を放棄している以上、自主的に動いた方がよさそうだと判断しました(海外も酷いのは酷いですけどね…)。
以前は、Twitterの公式の機能で、ブロックやミュートしたアカウントの一覧を書き出して保存しておくことができたんですよ。この機能がどういうときに便利だったかというと、取引先からの依頼でAというアカウントでTwitterを運用しているときに、問題ある言動が見られたり、運用テーマに反する性格のアカウントを発見したら、ブロック。ある程度溜まったら、そのリストを書き出します。そして、BというアカウントでTwitterを運用するときに、そのリストにあるアカウントをブロックしてスタートしていました(インポートしていたか、手動だったか失念…)。
ただ、なぜかその機能がTwitterからなくなりました。サードパーティーのサービスを使うほどでもない場合には、残念ながら、このTwitter Block Chain機能拡張が役立つかもしれません。しかし、たまたま虫の居所が悪くて暴言を吐いただけかもしれない人や、十分なリテラシーが備わっていないために、間違った情報を鵜呑みにしていただけかもしれない人まで、無条件にブロックしてしまう弊害もあります。それに、結果としてネット世論の分断に、実は自分自身が積極的に関わっているのではないか?という迷いは常にあります。
最近、ヘイトや暴言を吐く無視できないアカウントが目に入ると、そのフォロワーの大半はすでにブロック済みなことも増えました。その点では、このTwitter Block Chainが有効に機能しているのかもしれません。しかし、巻き添えで、間違ってブロックやミュートしてしまっている可能性は、常に頭の隅に置いています。無実の人と先回りブロックしてしまうことで、折角の縁を切ってしまっていたり、不快にさせているリスクはいつも頭を過ぎります。
私の場合、「ゆらぎ」を取り戻すささやかな手段として、他の人のツイートなどでたまたま目にしたのがブロックしているアカウントだった場合、直近のツイートやプロフィールをざっと眺めて、その時点で特に問題がなさそうだと感じれば、ブロックを手動で解除したり、ミュートに変えることもあります。「恩赦」と呼んでますがw 巻き込みでブロックしてしまっていたアカウントは、タレント事務所や飲食店、小規模ビジネスなど、恐らく相手のアカウントの質を確認せず機械的にフォローしたり、有料アカウントを買っているアカウントが多い印象です。フォロワーの数だけを追うことが、結果としてネガティブに作用してしまっていることにも、気付いていないんだろうなぁ :'(
ただ、わざわざブロックを解除するような面倒な手間を掛ける機会も限られているのが現実。本当は、社会にとっての継続的な危険度がしきい値で判定できたり、アカウントによってはブロックを一定期間後に解除されるとか、執行猶予的なユルさが欲しいところですけどね。とにかく、テクノロジーに依存した使いすぎにはお互い注意しましょう。
なお、macOS Big Sur 11.0では、ChromeやFirefoxなどの機能拡張を、Safari v14用に変換して使えるようになりました。そこで、Apple M1+macOS Big Sur 11.0でSafari用に変換して試したところ、他の機能拡張はそれなりに動作したんですが、Twitter Block Chainはダメでした :'(
希望は、macOS 12 MontereyでChromeやMozillaとSafariの機能拡張がやっと共通化されると、WWDC 2021でアナウンスされたこと。こちらの方は大いに期待できそうです。そのうちまたテストしてみましょう。
ただ、テクノロジーの使い方としてこれでいいのかという疑問が消えるわけではありません。ブロックすべき情報に反応するということは、自分自身の中に相似形をした何かがあるという証拠かもしれませんし。しつこいですが、使う場合は慎重に。