小倉の町で丼ご飯片手にリノベーションまちづくりについて考えた

ちょっと「ブラコクラ」

グリーンがアクセントのcafe CACTUS。

実は、今回の視察ツアーで紹介された物件の中には、以前、何となく気になって訪れたことがある場所もいくつかありました。「cafe causa」の2Fには会合で何度か行っていましたし、「メルカート三番街」の「cafe CACTUS」にも入ったことがあり、「TangaTable」にも泊まったことがありました。何も知らなくても、誘われていたんでしょうかね。

TangaTableに朝日が。

初めて行ってみたのは、コワーキングスペース2か所。商店街の中にある秘密基地は、よくパーティーやイベントも開かれているようで、当日も夜の飲み会に参加してみただけでなく、翌日もまた戻ってみました。すぐ近くの「みかげ通り」にあるMIKAGE1881も、窓からの見晴らしと赤いソファーが印象的な、なかなかステキなところでした。

旦過市場がインバウンド人気なのは

その名の通り、大学が運営する食堂。
托鉢のように路地を彷徨う。

さて、視察とは直接関係ないんですが、やっと日中に旦過市場(たんがいちば)を訪れることができました。そして、商店街の真ん中で北九州大学の学生さんたちが運営する、「大学堂」名物の「大学丼」を味わうというより、体験しました。

これは、白ご飯だけをよそってもらった丼を手に、市場をあちこちうろついては、自分のオリジナル丼を作って食べられるという、夢のような仕組み!刺身と、北九州名物である鰯のぬか炊き(糠味噌の煮魚)はすぐ決まったものの、丼片手に人混みの市場内をまんまとあちこち彷徨ってしまいました。昼から素面でうっかり手に取ってしまった豚足を食べるのも、初めての経験でした。

この大学堂も、何と営業10周年。店の学生さんたちに聞けば、来店するほとんどが、アジアのインバウンド観光客とのこと(私は、辛うじて日本語で話しかけてもらえました…)。確かに、ベビーカーを押した家族連れや女子旅らしい一団が本当に目に付きました。福岡よりもさらに近くて安い、週末に気軽に遊びに来られる観光地なのだそう。そのきっかけが、やはりSNS。

丼ご飯を片手に考えた

昭和映画のセットまんま。

これもまた偶然なんでしょうが、日本にソーシャルメディア、特にSNSが普及し始めたのが、ちょうど2008年辺りから。町づくりと同じで、コミュニティーがパワーを示すタイミングの一致も興味深いと感じました。リアルな場とコミュニティー、信頼感の醸成といった点が通じているのかもしれません。

写っているものすべてがほぼ茶色。

非常に印象的だったのは、表に見えないところの足固めを、実直かつ柔軟に、賢く準備されていたのだろうと感じたところです。恐らく多数いるはずの、町の重鎮やうるさ方を懐柔する、硬軟取り混ぜた手練手管は、セミナーや町歩きしたぐらいではとても真似できるはずもありません。基礎さえしっかりしていれば、後の建て付けに少々不具合があろうと、何とか上手く調整できるという見本だったかもしれません。もちろん、必ずしもすべてが上手くいっているわけではなさそうだったんですが、ローカルでニッチ、マイクロなところを大切にしながら、自立した、継続性あるプロジェクトを垣間見ることができました。

表に見えるいろいろな具を支える、見えない丼のご飯。地域に残る古い建物を核とした温故知新、人々の信頼関係がつなぐシェア。いろいろご馳走様でした。