電動キックボードLUUPで風を感じつつ次世代モビリティーを考えた

シェア電動キックボードLUUPに実際に乗ってみた1:神田編

ここからは、実際に都内で乗ってみた時のことをレポートしてみます。初回は無理せず、すでに朝日が昇った5時半過ぎからライド。神田錦町から竹橋と皇居を3km弱、約20分だけ試しました。

デスクトップで見られるLUUPのポートマップ
デスクトップで見られるLUUPのポートマップ

まずはアプリで、乗りたい近くのポートをチェック。一番近いポートに車体があることがわかったので(コレが実は確認ミス)、そのまま向かいました。ところが、問題発生!ポートには、キックボード型が2台と自転車型が1台あったんですが、キックボード型は2台ともバッテリー切れでした。つまり、使える表示は自転車型の1台だけだったんです。

しかし、これも折角の(?)機会なので、キックボード型の車体を観察します。屋外に置かれている割には、それなりにキレイです(車体次第だということを後で知る)。ステップ部分は、両脚の幅ぐらい。スタンドが上がった状態だと、前輪が持ち上がるようです。これを借りる訳ではないので触らずに、急いで近くのポートでキックボード型を探しました。

幸い、5分ほど移動した交差点に1台だけあったので、慌ただしく移動しました。今度はちゃんと車体を確認。ナンバーを確認し、こちらも車体をチェック。ナンバープレートがかなり低い位置に取り付けられていて、縁石に触れたりするんでしょう、プレートの端が曲がっていました。そういえば、ポートに停まっているどの車体もこんな感じ。さっきのがたまたまキレイだった。

こっちの車体は、導入時期が古いモデルなのか、さっき以上に使い込まれている印象でした。ミラーは、申し訳程度に右側に1本だけあるものの、鏡ではなく薄い金属板のようで、凹凸や汚れも酷く、よく見えません(そういえば、さっきの車体にはなぜかミラーが無かった)。走行中もちら見しながら調整しようとしましたが、設置されている高さも低いので、全然役に立ちませんでした。なお、この後で借りた車体では、根元から折れていたり、車体によって当たり外れがありそうです。

ハンドル部分のQRコードを読み取ってロックを解除したら、中央のアダプターにiPhoneをしっかりセット。前後の仰角はほとんど変えられず、カバーも無いので、太陽の角度によっては画面が見づらそう。あと、今回は途中で街中の風景写真を撮るのに、いちいちアダプターから外さなければならなかったのが、面倒だった(スクリーンショットはそのままで撮影できました)!

実は、このスマートフォンアダプターの下に左右のインジケーターボタンもあったんですが、隠れて気付きませんでした。クラクションは、スクーターぐらいの音量でそれなり。背後からスーッと近づいてこられていきなり鳴らされると、ビクっとしそう。スタンドを上げて車体を取り回しますが、想像以上に重さがあって、しかも小回りが効かないのが意外でした。

ライドは、最初こそおっかなビックリでしたが、すぐに慣れました。ライドしたのは7月末。日中はまだ暑さが厳しい夏の早朝の風が心地よくて、気分爽快!視点の高さは、自転車と比べて数10 cmも変わらないはずですが、何だか高く感じました。

足下は狭く、荷物を一緒に運ぶのは無理です。荷物は、背負うか体の前に回すか、たすき掛けできる分だけにするのが安全ですが、あまり重たいとバランスが崩れそう。

しかし、路肩に駐車している車を避けながら走るのは、ちょっとした恐怖を感じました。もちろんドライバー側も、かなり怖いはず。一度、早朝の配送トラックが路肩に止まっていたので、右側の車道へ避けるのではなく、左側の歩道に乗り上げて停まろうとしたところ(歩道は走行禁止)、それなりの段差が目に入ったので急ブレーキを掛けました。あのまま突っ込んでいたら、前述のJAFのビデオのように、転倒のリスクもあったかもしれません。

薄らと汗ばみつつ、しかし心地いいライドも体感しながら、元の場所近くに戻り、空いていた別のポートに停めて終了しました。

シェア電動キックボードLUUPに実際に乗ってみた2:明治神宮外苑編

2回目のライドは、9月初頭。シェア電動キックボード同様に未体験だった、話題の東京明治神宮外苑地区の再開発地域を一回りしてみることにしました。周囲が完全に明るくなって視界が確保できる6時前に、渋谷の西側からスタート。ひと通り使い勝手もわかったので、リラックスした朝の散歩ライドが楽しみです。

ところが、渋谷という場所柄もあるのか、早朝だというのに乗れる車体があるポートが無い!まさかと思って、シェア電動サイクルのドコモバイクシェアを見たところ、こっちも全滅!結局、スタートするつもりだった地域から15分ほど歩いた住宅地の中に、ポツンと1台だけある車体を発見して、急いでゲット。恐らく、シェア電動サイクル同様、通勤・通学に使っている人がすでにかなりいるんでしょう。

渋谷は、その名の通り坂の上り下りが多い土地。ここを移動するのに、電動キックボードは最適です。やっぱり、直接、体に風を受けながら、早朝の空気を切っていくのは爽快!日中は人で溢れかえるスクランブル交差点も、まだ静かでした。早起きのカラスと夜を明かしたらしい若者たちを刺激しないように、しかし颯爽と走り抜けます。

宮益坂の車道を車や自転車で走ったことは無かったんですが、実は路肩は結構な凹凸がありました。キックボードにはサスペンションは無く、タイヤに空気も入っていないので、路面の起伏をダイレクトに拾って、振動で手首が痛くなるほど。レバーを押し下げたままライドし続けるのも、親指の根元が段々疲れてきました。

両脚を横に揃えて直立して乗るスタイルだと、衝撃や転倒など、やはり恐怖を覚えます。意識して片足をやや後ろに引いて、少し腰を引き気味なポーズを取って乗りましたが、ちょっと不自然なので、長時間乗っていると段々と腰が痛くなってきました。誰も気にしてないとはいえ、見た目もちょっと格好悪かったはず。

東京明治神宮外苑地区の再開発問題については、ユネスコの諮問機関イコモスが、計画中止を求める警告の文書を東京都や三井不動産などに送っています。 私も関心を寄せて反対署名もしていますが、現地を見たことがなかったので、この機会に行ってみることにしました。

「まるで遺言じゃないか…」死の3週間前、坂本龍一さんから届いた本紙への取材依頼 伝えたかったことは<ニュースあなた発>:東京新聞 TOKYO Web

緩やかな上り坂と路面が悪い渋谷の道を抜け、銀杏並木へと向かいます。20 km/hは、道路の幅が広い場所でトップスピードになると、あまり気になりません。走りながら時々、急ブレーキもテストしてみました。下り坂だと、これ以上の速度が出るはずですが、転倒すると間違いなくケガをするでしょう。

銀杏並木の入口に着いて、小休止を兼ねつつ、歩道を押し歩き。車体は結構な重さですが、大半はバッテリーか。ハンドルを曲げられる角度がかなり制限されているので、コンパクトな車体サイズの割には、小回りが効かず、回転半径がかなり大きくなってしまいます。

話題の明治神宮外苑の美しい銀杏並木と、カーエンスーのおじさんたち
話題の明治神宮外苑の美しい銀杏並木と、カーエンスーのおじさんたち

週末の早朝だからか、ここがカーエンスーおじさんたちの溜まり場だということを知りました。美しい銀杏並木を借景に、仲間内で談笑したり写真を撮っている様子。お年寄りたちの憩いの場になっている神宮軟式球場噴水の周囲を抜け、大問題のまま終わった東京五輪の国立競技場を抜けます。立派すぎる墓標だわ。ここから、代々木公園へ行って、明治神宮を見て渋谷に戻ることにします。

狂乱の喧噪が去っても責任追及が続く巨大な墓標、国立競技場
狂乱の喧噪が去っても責任追及が続く巨大な墓標、国立競技場

ところが、代々木公園の西側の、国立オリンピック記念青少年総合センター沿いの道路の凸凹が、さっき以上に本当に酷い。また、手が痛くなってきたので、途中でちょっと休憩。LUUPには、一時停車の機能があるので、停車して代々木公園へ。結構な人数が集まる朝のラジオ体操を横目に、園内を散策します。しかし、明治神宮へは抜けられないことを初めて知った…Googleマップ、信じてなくてすまん。

代々木公園とラジオ体操の皆さん
代々木公園とラジオ体操の皆さん

早朝から空いているカフェを探して、その近くのポートに返却しました。気付いたら、約1時間で12 kmのライド。都市部の新しいモビリティー体験でした。