Acrobatの電子印鑑を使う時の注意点
- 印影のスキャンデータを厳重に管理する必要あり。
- 印影のサイズは、自由に拡大縮小できてしまうので、現物の印鑑で押せる印影とはサイズが変わってしまう。
- 電子署名とセットで使えばある程度セキュア。
- 印影が押された紙全体をスキャンしたデータよりは、印影部分だけを抜き出しやすい状態になる(これも後述↓)。
- 一度、カスタムスタンプとして取り込まれた画像データは、後から編集しても反映されない。
- PDFと紙の現物に差異が生じるため、死んでも紙が要る現場では、結局、一時凌ぎにしかならない。
Acrobatの電子印影も、絶対の安全は保証されない

さて、ここまで説明してきてこういうのもアレですが、このカスタムスタンプは慎重に使いましょう。というのも、電子署名は簡単に外せるので、電子印鑑も移動や削除ができますし(拡大縮小や回転は不可)、印影部分のデータもキャプチャーなりコピー&ペーストできてしまいます。
『だったら、結局、アナログな状態で一体化している紙の方がいいんじゃないか?』と早合点しそうになりますが、紙に押す印影も、高解像度でスキャンしてPhotoshopで編集すれば抜き出せるという点では、大差ありませんよね。
つまりこれは、PDFとハンコ云々の話ではなく、ワークフローやセキュリティーポリシー全体の話になるわけです。チームや組織内で十分に検討して、例えば、社内文書だけに使って社外用には使わないとか、別のセキュリティーサービスを組み合わせるなどのルールが必要です。
こんな未曾有の緊急事態ですら、狂ったルールに合わせなければならないシーンが、世の中にはいろいろあるのです。ZIPアーカイブのパスワードを別メールで送ったり、承認のためだけに結局満員電車で出社、日報がExcel、現場からの報告がFAXなどなど。IT担当大臣も経団連もしばらくはなくならないようですし、目的が『効率化して生き残る』ことではなく『変わらない』ことなら、残念ながら、日本のビジネスシーンで当分は紙もハンコも死にません。
そんなことは百も承知の上で、Adobe Acrobatに使える機能があるなら、制限を見極めながら、使えるところでは効果的に使っていきましょう!もちろん、Acrobat DCなんて、人件費に比べたら安いもの!現場で導入して使い倒す方向で。
ただし!ツールだけ揃えて、スムーズに現場に導入できると思ったら大間違い!こっちも合わせて読んでおくのを強くお勧めします :'(