
以前、親戚から家系図を作る協力を依頼されました。その時、いろいろと調べたことがあるのでメモしておきます。
映画や時代劇で出てくる家系図は、縦書きで、長い巻物風の紙をクルクルやるイメージですよね。実際、私に見せられたサンプルもそういった雰囲気でした。しかし、作図を頼まれはしたものも、どうもその気になれなかったのです。仕事ではないので、つい後回しにもなっていました。

実は、なかなか取りかかる気になれなかった最大の理由は、『ただ、人の名前を書いて、線を引っ張るだけの、効率が悪い図を描きたくない』ということだったんです。ただの図を描くだけなら、ツールは何でもいいはずですが、それでは何だかつまらない。いちいち全部プリントアウトして、見せたい人に郵送するなんてナンセンス。全然ダイナミック(動的)ではない。少なくとも私は、そのやり方にはあまり面白みを感じませんでした。
というのも、ぼんやりとですが、『何か家系図に(も)使える、標準仕様のようなものがあるはずだ』と確信していたから。画像や音楽、3D、動画など、種類ごとに適切なフォーマットがあるように、系統や世代管理をするのに最適で、一般にも扱えるフォーマットがきっとあるはず。時系列に眺めるだけでなく、誰もが自分を中心に、先祖や子孫、同世代の人々を自由に閲覧するのに適したフォーマットが。
MacFamilyTreeという家系図専用アプリ
そこで見つけたのが、ドイツSynium Software GmbH社のソフトウェアMacFamilyTree。家系図専用のアプリケーションです。予想したとおり、系図専用のGEDCOMという国際規格があり、これに準じていました。

MacFamilyTreeにより、すべての血族関係の概観を素速く快適に作成し、印象的かつグラフィカルに表示できます。多彩な印刷オプションがあり、系図をインターネットへ公表したり、直接CDに焼くこともできます。MacFamilyTreeは、系図のデータの国際交換のためのGedcom規格に完全に準拠しています。Mac OS Xの最新のグラフィックス機能をフルに使って作成されています。
MacFamilyTree – Modern genealogy for your Mac(以前のWebサイトの説明から)
https://www.syniumsoftware.com/macfamilytree
MacFamilyTreeのココがいい!
- 系図データの国際規格GEDCOMに完全に準拠している。
- グラフィカルで直感的なUI。
- オンラインで家族と共有可能。
- モバイルアプリあり。
MacFamilyTreeのココはいまいち…
- 日本語をサポートしていない(表示は可能)。
- 日本の慣習に最適化されていない・カスタマイズできない。
以前のWebサイトには、上記のような日本語の説明があったものの、MacFamilyTreeアプリケーションには日本語リソースがありませんでした。そこで、自分で日本語化したデータをパッケージに追加しながら使ってみました。想像してはいましたが、「洗礼」や「徴兵」といった日本の生活にはそぐわない項目がある一方、当然、縦書きはサポートしていません。結局、日本語化(トランスレート)はできても、日本文化化(ローカライズ)ができない限界がありました。
家系図WebサービスMyHeritage
次に注目したのが、家系図のWebサービスMyHeritageです。こちらも日本の慣習に最適化されているわけではありませんが、デフォルトで日本語対応しています。
MyHeritageのココがいい!
- GEDCOMをサポート。MacFamilyTreeと相互に読み書きが可能。
- Webサービスなので、OSやデバイスを選ばない。
- 不完全ながら、UIを日本語に設定可能。
MyHeritageのココは注意…
- 日本の文化や慣習に準拠していない。
- Webサービスとしてのセキュリティー(2段階認証には対応)。
- 故人の情報を公開して、自動的に関係する他者と接続する設定あり(デフォルトはオフ)。
- 表示や設定のカスタマイズの幅は広くない。
- やたらDNA検査を勧めようとする。
正月やお盆、冠婚葬祭などのタイミングで、家系図のことがふっと頭をよぎることもあるもの。そんな時は、できるだけGEDCOMをサポートしたサービスやアプリケーションを使っていれば、その後の管理や引き継ぎが非常に楽です。MyHeritageは、まだ本格的に使ってはいませんが、機会があればまたレポートします。