ブルージーなB.B.の愛を受け取って

B.B. Kingが亡くなった。

しばらく前から病気療養中とは聞いていたが、U2の「iNNOCENCE+eXPERIENCE Tour 2015」が、バンクーバーから始まった日に合わせたかのように旅立っていった。

彼の名前を知ったのは、U2のドキュメンタリー映画と同名のアルバム『RATTLE AND HUM』だった。27年前の作品の中でBonoは、”When love comes to town”という曲をB.B.に捧げている。映画の中で、ダブリンでの打ち合わせの時、B.B.は少し辛そうに息を継ぎながらステージ脇の階段を上り、こう口にする。

『変わったことが好きだ。みんな、変な目で言うよ、62にもなって何をやっているんだって…そう、もう62さ…』

U2 with B.B. King and his band "When love comes to town"

それでもB.B.と彼のバンドは、当時まだ30そこそこのBonoたち”young men”と熱いセッションの中で、彼がいう「ヘヴィーな歌詞」を、咽び泣くブルースギターと重厚なホーンセクションとでドライヴする。荒削りなリハーサルシーンから、迫力あるライヴに切り替わるトランジッションは、モノクロなのに、カラーに変わるような迫力だ。何度見ても鳥肌が立つ。

その後、U2のジャパンツアーで来日した時に大阪ドームのステージで見たのが、最初で最後のナマB.B.になってしまった。Eric Claptonとのアルバム”Riding with the King”、80歳を記念してDaryl Hallたちとデュエットした”B.B. King & Friends – 80″などは、とにかく豪華だった。

詳しく知っていたわけではないけれど、もうちょっと聞きたかったミュージシャンたちとの別れは、段々と、ボディーブローのように効いてくる。享年89歳。B.B.、あなたは、62になる前もその後も、偉大なブルースギタリストだった。町に連れてきてくれたブルージーな愛は、確かに受け取った。