
「Ingress Aegis Nova Tokyo」は、 想像以上にフェス+コミケ+学園祭ノリの大規模イベントでした。

Ingress(イングレス)が一体何なのか、詳しくは検索してもらうとして、ざっくりいうと位置情報を使った陣取りゲームです。「XM(エキゾチック マター)」という謎のエネルギーを巡って、人類を覚醒させようとする「エンライテンド(Enlightened/ENL/緑)」派か、邪悪なエネルギーとして制御すべきだとする「レジスタンス(Resistance/RES/青)」派かに分かれて、双方の領域を守りつつ拡張して闘います。成績に応じてレベルが上がったり、仮想のメダルが付与されるのも、コレクション趣味を煽ります。ちなみに、開発元のNiantic(ナイアンティック)社は、元Google社の社内ベンチャー組織。同じ位置情報を使って、今、最もホットな『Pokémon GO』を開発している会社ですが、今後は後者の会社として知られていくんでしょうね。
今回、「Aegis Nova(イージスノヴァ)」と呼ばれる全世界のシリーズ戦の最終戦開催地が東京で、かつて無いほど大規模なイベントになるというタイミングで、現地に参戦してみました。「Ingress Aegis Nova Tokyo」と、設定されたミッションをクリアしていく「Mission Day」という2日間のイベントでしたが、想像以上の盛り上がりでした。
伊藤園 XM Profiler のご神体 伊藤園サンプリングのシール
伊藤園のサンプリングとドリンクを売らない自販機(?)は噂通りだし、世界初のIngress仕様バス「NL-PRIME」は迫力満点。オートバックスのデコレーションカーも派手で、三菱東京UFJ銀行のタイアップは狂ってるしw、ニコニコ神社は流石日本特有。そして何より多数の物販ブースが大盛況でした。
ウィラートラベルの専用バスNL-PRIME NL-PRIME車内の謎の操縦桿

とにかく、巨大都市をまるごと使ったとてつもない展開。直前になって、詳細がようやく発表になったり、内容が変わったりするのは、どうやらいつものことのよう。お台場をメインに、上野から秋葉原、銀座、永田町、六本木、皇居周辺。西は、新宿から渋谷、恵比寿、五反田周辺まで。さらに東は、東京スカイツリーから夢の島、首都高速湾岸線沿いと、東京という世界規模の大都市を遊び倒す広大さでした。
梅雨明け直前の2日間とも、湿度はそれなりだったものの、灼熱や豪雨にもならずに何より。とはいえ、都内中心部を広範囲に使った展開で、地下鉄と電車はもちろん、レンタサイクルが大活躍しました(これについては、また新しいエントリーを書いているのでお楽しみに)。あれほど集中的に体を動かして、水分補給したのは久しぶりでしたが、あちこち体が痛むこともなかったのでホッとしています。
当日夜のアフターパーティーでは、関係者が次々にステージ上に上がって、感謝の祝辞。20,000近くのチケットが販売され、10,000人を超える参加者が集まった、最大規模のイベントとなったそうです。そして、今回の結果がエンライテンド(緑)の勝利だと伝えられると、お台場ヴィーナスフォートの壁面ディスプレイと、フジテレビのビル外壁を勝利のサインが彩って、大興奮のうちに終了しました。
エージェントIDカードとリストバンド Enlightened勝利のサイン
このIngressは、ゲームコンテンツというより、それを成立させるための巨大なシステムであり、コミュニティーだと感じました。実際、テクニカルな面はもちろん、サービスやソフトウェア面でも、そのノウハウの多くがPokémon GOに活かされているようです。

元々、私のIngressプレイ戦績は中途半端。iOS版が2014年7月にリリースされてから登録し、ひとつの節目となるレベル8まではそれなりにプレイしたものの、それ以降は起動すらしなくなっていました。専門用語や隠語、アイテムの使い方もよく分かりません。「エージェント(プレイヤー)」として登録している日数の長さの割には、未だにレベル10での参戦でした。何より、脚力や持久力を装備しておくべきでした…
そんなプレイスキルはともかく、Ingressというゲームを支える仕組みやSF的世界観、取り巻く環境には、ずっと興味を持ち続けていました。欧米好みな芝居がかったストーリーと演出、世界各地で時々開催されている「XM Anomaly(XM アノマリー)」と呼ばれる大規模なリアルイベントの盛り上がり、リアルとの境があやふやになってトラブルになる例など、とにかく興味のネタが尽きません。

日本でも、伊藤園やローソン、SoftBank、アクサ生命保険など大企業とのコラボ、人を実際に集める仕組みとして各地の自治体が熱く注目している様子、ライセンス料を必要とせずに各個人がオリジナルグッズを作れるしくみ、フリーマーケットサービスのMercariでの販売など、据え置き型ゲーム機から離れたり、スマートフォンのソーシャルゲームに縁がなかった私ですら興味を持つイベントを、実際にリアル体験できるチャンスは興味深いものでした。

私は、野外音楽フェスやコミックマーケット、マラソン大会などにはどれも参加したことがないのですが、それら全部が一緒になったような雰囲気はこんな風なのだろうなと感じました。今回、ソロで地味に活動したわけですが、スマホ片手にダラダラ進むコスプレ風味の怪しい集団としてのwチームに入ってみたり、裏で支える運営や物販に加われば、また楽しめたと思います。
そして早くも次回は、「瀬戸内」地域での開催が噂されています。山陽と四国をまたぐ本四架橋以上の長距離リンクが一体何本張られるのか?淡路島が丸ごと「緑化」されるのか?うどん県は出汁に「水没」してしまうのか?興味はまだまだ尽きません。
その先には、熊本や大分地域を巻き込んだ、九州地区での開催を切に希望します。