谷川さんやオーケンたちに出会った書店

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福岡ポエイチ5周年記念企画 Re:name 谷川俊太郎トークショー

正確には、皆さん全員に書店で会った訳ではありませんが、先週末に参加した、2人ずつの対談 X 3種類のトークショーすべてに共通していたテーマが、言わば「体験へと導くテキスト」でした。
写真やスタンプ、マイクロビデオが表現手段として大きな影響力を持つようになる中、決して言葉に魅力が無くなっているとは思いたくありません。短歌や詩、広告コピー、歌詞、ブログ、ツイートなどのテキストに、今でも大きな可能性を感じている人たちが多いはず。パッケージ形態や広告的評価はさまざまでも、言葉の力強さが毀損されているわけではなく、むしろテキストでなければ伝わらない表現や演出に特化し、再定義することによってさらにその魅力を増すのだと、改めて確信しました。
また、デジタルツールやサービス、ガジェットで効果測定することで、必ずしも効果測定できないことを大事にできるとも思っています。誰かのために、そして自分自身のために、私も書き続けていきます。

木下龍也×阿部広太郎「一行で何を書けるか、一行に何を賭けるか。」@Rethink Books

Rethink Books

下北沢の書店B&B @book_and_beer が福岡天神に期間限定でオープンした書店 @Rethink_Books 。Book and Beerな本家B&Bは、未だに行くことができていなかった場所なので、トークとビールを楽しみに参加しました。こぢんまりした店舗の一角をカーテンで区切ってのフラットなスペースでしたが、主役たちの顔も声もしっかり伝わる20人程度のミニマムな空間。ただ、パイプの丸椅子に2時間座り続けるのは正直辛かった…。

もちろん、登壇されるのが歌人の木下さん @kino112 と電通コピーライターの阿部さん @KotaroA という、テキスト表現のアートとデザインに関わる若い世代のお二人が、どんな考え方をお持ちなのかも大変興味がありました。
https://twitter.com/Rethink_Books/status/744134515090567168
短歌や俳句、詩、散文は、受け手が自分自身というアートであり、商業とは直接には関係していません。料理に喩えるなら、食材そのものの醍醐味。一方、広告コピーは、お客さまの売上げや集客に直結しなければ存在できない、デザインとしてのビジネスです。調理して、味わってもらう人の口に合うように提供されるのが前提です。とはいえ、この2つは相反している訳ではなく、実は、相互に補完し合っていると再認識しました。実際、二人の視点が時々入れ替わるかのような瞬間が興味深く思えました。

アートは、分かってくれる人だけが味わってくれればいい面があるとはいえ、パッケージの形で流通に乗り、一定数売れなければ人々に届けられず、結果として続けられなくなります。一方、デザインには、送り手側の「自分ゴト濃度」が求められているように感じます。キーワードには入札単価が付き、AIが文章を自動生成しようかという現代。読まれない・見られない広告で、どうやって共感を引き出していくのか?
タイミングが、まさに「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」の時期。
CANNES LIONS カンヌライオンズ
http://www.canneslionsjapan.com/

広告賞とは、一体誰のためのものなのか?クライアントからお預かりした貴重な予算を使い、掛けたコストに対してどれだけパフォーマンスが得られたのか?その先にある、単なる消費だけではなく、どれだけの人を動かして幸せにしたか?という青臭いことまで考えると、やはり、アートに近い要素が不可欠なのではないか?そんなことを考えながら、興味深く話を伺いました。
お陰で、また詩や短歌、俳句を書いてみようという刺激になりました。

オーケン・プチ復活のほほんトーク in 博多@書斎りーぶる

4月末に声帯ポリープ除去手術をして以来、大槻ケンヂの初めてのトークショーが福岡で開催されました。半年前の2015年12月以来の来福でしたが、今回の聞き手も、ニュー・ウェイヴ・バンド「ロマンポルシェ。」のボーカル掟ポルシェ @okiteporsche
大槻ケンヂ・トークイベント、いよいよ5月21日よりチケット販売開始です。
90人程度がほぼ満席の中、また遅刻ギリギリだったこともあって最後尾に着席。古い雑居ビルの2Fは座席の高低差がないので、前方の二人の様子ははっきりとは見えず、前の人たちの頭の隙間から垣間見える程度です。

私にとっては、オーケンはロックミュージシャンというより、独特の語り口を持つエッセイスト。その視点と、喋りがまた素晴らしく楽しいのです。
オーケン企画
http://www.okenkikaku.jp/

手術後の経過は良好らしく、『お医者さんからも、積極的に声を出してリハビリした方がいいと言われた。同じ病院でも、医者によって言うことが違うけど』との微妙なお墨付き。50歳を迎えた人間としての病院や手術の話から、ツアー先での女子力高目のカフェ探索の話、ベストアルバムが予定されている筋肉少女帯のネタなど、グダグダの話を自由に転がして盛り上げるのは相変わらず。新しいコンテンツが発売になるでなく、何かはっきりしたテーマや役立つ情報があるでなく、病気というネガティブ要素もネタに変えて人を集められるのは、なかなか素敵な魅力です。


缶ビールを飲みながら気持ちよくなって、途中、軽く気を失うような心地よさでした。前回同様に『公開リハーサル』と称して、「あのさぁ」など3曲、ギター弾き語りで熱唱。予定の2時間を30分もオーバーする緩い盛り上がりでした。
実は今回、会場の書斎りーぶる @liburutenjinzen の運営会社である(株)菊竹金文堂が、掟さんの奥さんの実家だということを知って驚きました。
しかし、スガシカオにしても関東人はどうして福岡のことを博多と間違って呼びたがるんでしょうか?

福岡ポエイチ5周年記念企画 Re:name@都久志会館

5年に渡って開催されている詩と文学のお祭り『福岡ポエイチ』 @fukuokapoeiti を記念して、詩人の谷川俊太郎氏 @ShuntaroT のトークショーが開催されました。
福岡ポエイチ5周年記念企画 Re:name
http://poeiti.yu-nagi.com/5.html

福岡ポエイチ5周年記念企画 Re:name 谷川俊太郎トークショー

会場は、ステージまでは距離があるものの、見やすく聞きやすいホールでした。約570席がほぼ満席。谷川さんがステージに登場して開口一番、『詩をテーマに、500人以上のお客さんが集まる福岡は凄い。東京じゃ考えられない』との驚きようでした。
谷川さんの話で印象的だったのは、『日本語はメロディーというよりは調べ』『本はあまり読まない』『あくまでも生活のために始めた』ということと、『言葉を信用している訳ではない』ということ。ネットワークが発達した現代が、ひとつひとつの言葉がほぼ決まった意味ばかり評価されるような傾向にあることには、危機感を懐いていらっしゃいました。
確かに、ネットで検索に使われるのは、打ち込まれる文字列。技術の発達で、より自然言語に近くなったり、画像や音声も使われるようになっていく中で、言葉や表現が単純化・短縮化されている雰囲気は、私自身、日々感じています。
言葉に適度な距離感を持つ老練な匠は、スマートフォンアプリで詩を発表するほどの身軽さも持っています。谷川さんがガジェットやオーディオ機器がお好きなことは知っていましたが、御年84歳にしてMacBook Airを開いて創作・朗読する様子は、まさに現代を普通に生きる人そのものでした。

ひとつだけ気になったのは、当日6月19日(日)が福岡大空襲の日だったにも関わらず、そのことに全く触れられなかったこと。谷川さんご自身も何度か、文章を含むすべての芸術表現が戦意高揚に利用された戦争体験を語られていました。しかも、福岡市主催の慰霊祭が開催されていた冷泉公園は、個人や団体の文芸作品が展示即売されていた、リノベーションミュージアム冷泉荘 @reizensou のすぐ横。聞き手の渡辺玄英氏が福岡出身にも関わらず、何も触れなかったことには、最後までもやもやしたものを感じました。

言葉の万華鏡でした

皆さん、ありがとうございました。『一行に賭ける』若人がいるかと思えば、『言葉なんて信用していない』と達観する先人の言葉もコントラストが鮮やかでしたし、40代でギターを始めたユニークなロックミュージシャンとの対談も、いつか実現しないかと勝手に期待しています。
また、コンテンツだけではなく体験を販売する場としての書店と機会は、福岡でも(福岡だからこそ?)着実に増えている印象です。ブックスキューブリック箱崎店 @BOOKSKUBRICK や、天神天狼院 @fukuoka_tenroin の次のイベントも楽しみです。

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