キリン『午後ティー女子』炎上で、深煎り紅茶の残り香の中考えた

tea cup

キリンビバレッジ「午後の紅茶」の広告表現を巡る騒動があったらしく、いつものソーシャル炎上焼け跡ウォッチをしてみました。かすかに白煙が立ち上る現場で、残された遺留物や痕跡を集め現場検証してみると、燃えさかる炎と野次馬の喧噪の中では気付かなかった発見もあるものです。

そもそも、若い女性を類型化するホイチョイプロダクション的な分類は、80年代から散々やってきたこと。インターネット登場以前の、人やモノ、コトに対するタグ付けを、当時の群衆はある程度楽しんだり、逆に拒絶したりを繰り返して消費してきたのです。ある程度TPOが考慮されるようになったとはいえ、若い女性にしか商品価値を認めない演出は、未だに使われている手法だったりします。

なので、この広告の見せ方やイラストそのものに対しては、好き嫌いの前に、既視感以上のものを感じることがありませんでした(もちろん、自分が商品のターゲットではないことをわかった上で)。もちろん、ジェンダー的な側面や、ポリティカルコレクトネス、ステレオタイプな表現なども気にはなりましたが、使い古された「XX女子」をなぜ未だに引きずるんだろうか、とは思いました。

「一緒にプチ共犯者になってもらう」関係性づくりは、昨今の流れからいって有効なのでしょうが、今回の一件は、結局それには失敗してしまったように見えます。大昔の見せ方を今やってしまうことが問題だったのか?勝手に適当に分類されるカテゴリーに収まりきれないほど、趣味や価値観が多様化している故の反発か?

ただ、個人的にはそこよりも、炎上に対して初動が遅かった点がとても興味深く感じました。リソースが潤沢な巨大飲料メーカーの五臓六腑にすら落ち着かないほど、時に手法やタイミングを誤ってしまうものなんでしょうか。大量のペットボトルが焼けたのか、後にはモヤっとした違和感という匂いが鼻を突きました。

目的や経緯、対応の舞台裏にとても興味が湧きましたが、炎上きっかけで深煎り缶コーヒー「FIRE」へのキャラクターの横滑り展開は絶対ない…はずですが、もしあったら箱買いしてみるかもしれません。