Adobe Acrobatを使えば、そのPDFファイルが改ざんまたは書き換えされていないことを証明できる、電子署名を付けたり、確認できます。もちろん絶対ではありませんが、安全対策のひとつとして、この機会に知っておくのもいいですよ。折角カンタン便利で強力な機能があるんだったら、使わなくちゃもったいない!


私は、見積書や請求書、契約書、証明書などには、必ず電子署名を付けるようにしています。さらに、パスワードも併用すれば、(ある程度)安全にPDFファイルを共有できます。承認印の印影をスキャンして沢山貼り付ける(!)ような無駄なことより、この機能を使いましょう。
以下は、Adobe Acrobat Pro DCの場合ですが、Acrobat Professional等でもほぼ同じ操作が可能です。また、Adobe Readerでは、署名内容の確認だけができます。
PDFファイルに署名する
- 署名したいPDFファイルをAdobe Acrobatで開き、「ツール」タブに切り替える。

- 「フォームと署名」の「証明書」の[追加]ボタンをクリックする。

- 書類のタブに戻り、ウインドウ右側の「ツールパネル」を表示して、「証明書」ツールをクリックする。
- 「証明書」ツールバーが表示されるので、「電子署名」をクリックする。

- 署名を表示したい範囲をドラッグで囲む(ドラッグした大きさが、署名の大きさ)。

- 初めて電子署名する場合は、以下の「デジタル ID を追加」ダイアログボックスが表示される。すでに電子署名IDが作られている場合は、「文書に署名」ダイアログボックスが表示される。
電子書籍署名を作る
- 「デジタル ID を追加」ダイアログボックスで、「今すぐデジタル ID を新規作成」ラジオをボタンを選択して、[次へ]ボタンをクリックする。

- 入力フィールドに、必要な情報を入れる。「鍵アルゴリズム」には、よりセキュアな「2048-bit RSA」がオススメ。[次へ]ボタンをクリックする。

- 電子署名のファイル名と保存先は、そのままでOK。以下のディレクトリにある、拡張子が.p12のファイル。この電子署名ファイルはコピーできるので、複数のマシン間で同じ署名を使える。パスワードは、十分な長さと複雑さにして、パスワード管理ユーティリティーなど安全な場所に保存しておく。[完了]ボタンをクリックする。


macOS /Users/(アカウント)/Library/Application Support/Adobe/Acrobat/DC/Security/(ファイル名).p12 Windows C:\Users\(アカウント)\AppData\Roaming\Adobe\Acrobat\DC\Security\(ファイル名).p12
PDFファイルに署名する(続き)
- 署名に使用するIDと表示方法を確認する。「署名後に文書をロック」はチェックを推奨。パスワードを入力して、[署名]ボタンをクリックする。

- 元のファイルと同じ場所に保存されるので、上書きまたは別名で保存する。プレビューには電子署名が表示され、「証明書」ツールバーには、有効な署名済みであることが表示される。

- 名をクリックすると、検証結果が表示される。
- もし、改ざんされていれば、署名が無効であると表示される(署名のプレビューを見ただけでは分からない!)。

- 「証明書」ツールバーの[署名パネル]ボタンをクリックすると、無効の詳細が表示される。

電子書籍署名を(一旦)クリアする
- 署名を右クリックし、「署名をクリア」を選択する。

- 空欄になった署名フィールドは、右クリックして「文書に署名」を選択することで、もう一度署名できる。

電子書籍署名フィールドを削除する
- ウインドウ右側の「ツールパネル」を表示し、「フォームを準備」ツールをクリックする。

- 表示される署名フィールドを右クリックし、「削除」をクリックする。

この電子署名は、PDFを表示できるアプリケーション(例:macOSなら「プレビュー」)でも表示できますが、有効/無効の判定はできないので要注意(表示されている=有効だと勘違いしてしまうリスクあり!)。また、削除も可能です。
モバイルアプリの場合も、例えばAdobe Readerでは電子署名は表示され、GoodReaderでは表示されません。
ちなみに、Acrobat Proには「墨消し」ツールがあります。情報公開請求の報道でよく目にする、説明責任を果たしている振りをするのにピッタリ!また、「ファイル比較」ツールは、改ざん・書き換え前後のバージョンチェックも楽々。
さて、「透明化」ツールはどこだったかな?