裁判傍聴を初体験しに裁判所へ行ってみた

裁判傍聴のため、福岡地方裁判所へ行ってみました。裁判ウォッチャー芸人の阿曽山大噴火さんによる、裁判傍聴の記事をたまに目にすることもあって、以前から少し興味はあったんですが、あまり用事ができてから行きたい場所ではないので、初の裁判傍聴を体験するためだけに自主的に(?)訪問してみました。

[追記 2022/03/02] 2022年1月19日には、ベトナム人技能実習生リンさんの裁判傍聴にも足を運んでみました。残念ながら、抽選には漏れましたが、抽選のフローも途中までは体験しました。しかし酷すぎるわ、あの判決は…

福岡地方裁判所・高等裁判所・家庭裁判所は、福岡市中央区城内や大手門から移転してきて、2018年8月にオープンしただけあって、外も中もキレイです。

敷地に脚を踏み入れる前に周りを見ると、西側の通路沿いには、紙で告示される掲示板が並んでいます。クレジットカードの未払いや遺産の処分など、ここを眺めるだけでも、現代社会が抱える問題が垣間見えてなかなか興味深いところ。

建物横のロータリ脇の公園前には、マスメディアで取材されるような話題の裁判だと、傍聴団が集結したり、拡声器と横断幕で主義主張をアピールしている人たちが集まるようです。いやはや、すぐ隣のマンションに住んでいる人たちも大変。

福岡地方裁判所前の掲示板
裁判所前の掲示板にも、人生の悲哀が…

車寄せを越えて建物の入口を抜けると、空港の搭乗ゲートのような金属類を調べるセキュリティーチェックがあります。今はマスク着用もチェックされますが、身分証明書の提示や何かの記述は不要で、すぐにパスできました。1階にある待合室のようなコーナーでは、裁判員制度のアニメがループで流されています。YouTubeをチェックしたところ、同じアニメはアップされてなさそうでした。こういうのは、余裕があるときじゃないと頭に入らないはず。

『この裁判を傍聴したい!』というのが特にあるわけではなかったので、裁判が開かれている上のフロアへ適当に上がります。各フロアには、大小いろいろな法廷の部屋が設置されているようでした。館内はどこも静かで無機質、否応にも緊張感が高まります。

エレベーターを降りて適当に進むと、待合室があります(館内の無許可撮影は禁止なので、写真はありません)。病院の待合室とは違って、テレビや新聞などはもちろん、自販機や時計などもまったくありません。外のかすかなノイズと、座った椅子の座面が擦れる音、自分の呼吸が聞こえるだけ。ふと誰かが入ってくるたびに、張り詰めた空気が軽く乱れます。どの法廷で、どのような案件が捌かれるのか、電光掲示板のようなものはありません。直接、各法廷前に貼り出されている紙を確認するか、事前に、1階または外の掲示板でチェックしておく必要があるようでした。

私が適当に傍聴したのは、強盗傷害事件でした。裁判傍聴は、訪問者専用のドアから入ります。初見の印象はベタですが、『映画かテレビドラマのセットみたい…』。結局、他には誰も傍聴人は来ませんでした。

しばらく待つと、裁判官が入ってきました。続いて、刑務官に連れられた被告が入廷。被告は、誰が来ているか傍聴席を確認するものなのか、遠目でも目が合うとこっちはちょっと緊迫しましたが、ごく普通の坊主頭の男性でした。私より若かったのかな。結審を待つだけの最後の裁判だったんでしょうか、原告側・弁護側で事実関係の確認なり、やり取りがあるわけでもなく、単なる事務連絡のような会話があっただけで、あっさり10分程度で終わりました。傍聴が趣味の人の場合だと、原告側・弁護側が、事件の概要を確認して、双方が事実関係なり反論を闘わせる、初公判をじっくり聞き込んだりするそうな。いやはや、奥深い世界です。

裁判所地下1階の食堂で親子丼
親子関係で揉めて、家庭裁判所へ来て、親子丼を食べたりする人もいるのかも…

私は地下一階の食堂で、ちょっと遅めの昼食を食べながらぼんやり考えました。あの緊張感は、親が子供の社会科見学として、訪れていって見せておくべきかもしれません。普段は、裁判所内の見学ツアーも開催されているようですが、コロナ禍で中止されています。クラス単位で何十人もぞろぞろ行く場所ではないですが、司法制度のリアルな現場として、あの厳粛な雰囲気は大人も体感しておくのはいいと感じました。何より無料だし。気分転換して帰るなら、近くの福岡市科学館にあるプラネタリウムに寄るのもいい。

そして、タイミングよく、ダースレイダーさんと高橋ユキさんのトークも!面白かったなコレも 😀