
結局は、費用対効果って話。いきなりの出落ちですが。
よく聞くのが、『Officeは、Officeでいいだろ』『無料の互換ツールがあるなら、Office買わなくてよかったのに!』『Numbersって、どれぐらいExcelの代わりになる?』というような話。結論からいうと、『仕事で使うなら、Microsoft 365を買っとけ』です。無料だったり、安い互換スイートが他にあっても、Microsoft 365を買った方が結局安くなります。
Microsoft 365(旧Office 365)には、ほぼ同じように使える互換スイート(アプリケーションのセット)がいくつもあります。OpenOfficeやLibreOffice、その両者をベースにしたNeoOffice、クラウドならGoogle Drive、Apple製だとiWorkなどがよく知られています。他にも地味ながら、Polaris Office、JUST Office、Thinkfree office NEOなどなど、種類は多数です。大体どれも、Word互換の文書作成、Excel互換のスプレッドシート、PowerPoint互換のプレゼンテーションの3つで構成され、そこに追加でPDF編集など、別アプリケーションがセットになっています。
Microsoft 365互換スイートのココがいい!
- 無料、タダ、FREE!
- Microsoftの囲い込みに縛られない。
- さらにiWorkだと、Mac/iPhone/iPadで使えて、iCloudで同期できる。
Microsoft 365互換スイートのココはいまいち…
- 他者との共有や共同作業が必要な場合、同じソフトウェアの同じバージョン、同じプラットフォームでなければ、レイアウトがズレたり表示が変わってしまう。
- 自分が互換アプリケーションを使っていることを、必ずしも相手に把握してもらえない。
- 時々、気になる動きもちらほら…
iWorkを例にしてみると…
いろいろなMicrosoft 365互換スイートがある中で、地味ですがiWorkを例に見てみましょう。Windows版の互換スイートも、ほぼ同じような状況です。
iWorkのラインナップは、Wordを凌ぐワープロ&レイアウトソフトウェアPages、Excel互換ソフトウェアNumbers、そしてPowerPointにないダイナミックなエフェクトが見る人の視線を奪うKeynoteという、3つのソフトウェアです。
まず、Pagesは、文書作成とレイアウトの操作性は、Wordよりも素直です。ちゃんと、できるようにできるw もちろん、InDesignほどの自由度はありませんが、ビジネスユースには十分。Numbersも、表計算機能がExcel並みに充実ていますし、レイアウトの自由度はExcelを上回ります。これならまだ、『なぜか表計算ツールでレイアウトする』ような使い方も納得できるレベルです。ただ、Excelマクロはサポートされません。MacBook Pro/MacBook Airでプレゼンするほとんどの人が、Keynoteを使っているようなものです。リッチなビジュアルには、触手もハートも動かされることは間違いなし。ただし、プレゼンは見世物ではありませんけどね。
『こちらから送信するExcelファイルも、先方で問題なく閲覧できるようだが、送り返してもらったデータがどうも元と違う…よくよく聞いてみたら、実は先方はNumbersを使っていて、Excelフォーマットに書き出して送ってきていた!』ような話も、実際にありました。互換ツールなので、本当にきっちり互換性があるんだろうと思い込んで、確認もしなかったミスでした。何て無駄な…
Microsoft 365互換スイートが向いていない人
- (ある程度の)レイアウトの維持が必要。自社内部だけで完結せず、他社へ送信したり、外部と共同作業する。
- レイアウトの調整に無駄な時間を取られたくない。
- WordのテンプレートやExcelマクロなど、Microsoft版製品が持っている特有の機能を使いたい。
- 取引先などから、使用するアプリケーションを指定されている。
- 以前、互換ツールの差異で痛い目に遭った。
- 予算がある程度確保されている。
結局、互換はどこまでいっても互換止まり
互換性があるからといって、Microsoft版のOffice要らずになるかって?、まさか(笑)!
しかし、だからといって『なんだ、使えないの!?』と諦めるのは早合点。目的や使い方に制限はあっても、前述のような条件に該当しなければOKです。どうしてもMicrosoft版を使わなければならない環境や、他者とファイルをやり取りするような必要があまりない、小規模ビジネスや家庭ユースなら十分です。
それ以外の場合、特に仕事で使うなら、必要経費だと諦めて(?)、Microsoft版を用意するのが妥当です。Mac/Windows版の差異も、以前ほどには大きくないので、十分検討に値します。仕事の目的は、『コストを掛けずに、ビジネスドキュメントを作る』ことではなく、『作ったドキュメントで、具体的な成果を上げる』ことのはず。レイアウトの調整や互換性チェックに掛ける、手間や人件費がもったいない!
そういえば、Elon Muskが先日、創業した脳コンピューターインターフェイス企業Neuralinkのミッションステートメントとして、こんなことをツイートしていましたね。『打ち負かせなければ、仲間になってしまえ』。そして、本当に自分が得意なところで闘いましょう 😉