
福岡市早良区藤崎の早良口にあったIngressポータル「ほりねことでん太」が削除されたと聞いた。確かに、無くなっていた。少しの寂しさはあるものの、何れ削除されることは分かっていたので、特に感慨深く浸ることはない。

ただ、家主がいなくなったこのポータルの扱いについては、自分でも全く矛盾した行動を繰り返していた。一般の無効なポータル同様、存在しないことをNianticに報告しては、また通りすがりにハックしていた。わざわざキーロッカーに大事にしまっていたかと思えば、しばらくしてリサイクルしたり、ドロップで捨てる。そしてまたなぜかハックで手に入れることを繰り返していた。何か、ちょっとした手に余る感情込みだったことは否めない。
位置情報ARゲームの中のこととはいえ、このポータルを巡るちょっと複雑な感情は、とても象徴的だとも感じている。どこかとどこか、誰かと誰か、何かと何かを繋ぐ。基点になれば、埋もれてしまうこともある。守られもすれば、攻撃もされる。中立でいる限りは、どちらの陣営にもなれるけれど、プラットフォームそのものも永遠ではない。
そして、自分自身もいつかはその後に続くのだ。何らかの役割と機能を果たしたポータルは、ハックのログと記憶を残し、コークの泡のように消えていく。
“Agents, Are You Ready?”