上方落語にライブプレゼンのエッセンスを見た

ライブプレゼンテーションとしての日本の話芸に注目する日々。前日の福岡に続いて、大阪の寄席「天満天神繁昌亭」で、落語を聞いてみました。

天満天神繁盛亭
天満天神繁盛亭

天満天神繁昌亭は、梅の花が咲き誇る天満宮の横にあります。上方落語の殿堂は、2006年9月にオープンしたばかりで、非常に綺麗。入り口正面や、ホールの天井には、協賛した企業や団体、個人の名前が書かれた白い提灯が鈴なりです。

『ぎりぎりでもチケットは買えるはずだし、どうせネットで即だし』なんて変な余裕で構えていたら、もうチケットぴあの取り扱いも終わっていました。まずい…そこで、朝から窓口に40分並んで、何とかぎりぎり当日券を入手。それでも結局、前の方の空席に案内してもらったので、落語家の表情も良く見えます。前日の福岡が、調整室の窓越しや、ビデオカメラのファインダー越しで落語を収録していたので、ナマの空気が特に嬉しく感じられました。

さて、いろいろな噺家さんが高座に上がった後、この日昼席のトリ(最後)は、桂 ざこば師匠。舞台袖に登場した時の拍手の音も、一番大きく盛り上がりました。まくら(噺の本題前のネタ)でいきなり、『今日は、何喋ろうかいなー』。それを受けた観客もわかったもので、『まいちゃんの話!』。そこから、娘さんへの愚痴が延々と続く(笑)。『ガンバレ〜!』と声が掛かれば、『…そんなこと言うさかい、何話そうとしたか忘れてもうたやんか!』で大爆笑。本題は、金の貸し借りをめぐる男三人の人情噺(んー、演題を失念…)。しんみり聞かせるところは聞かせて、隣のおばさんの鼻をグスグスさせる。

上手いなと思いました、流石。緩急とリズム、静と動、笑いと涙。正直、ちょっと驚いたほどです。

聴衆との掛け合いというアイスブレイクを経て自然に聴衆を巻き込み、会場の一体感を作り上げる。無音の瞬間を作ることが、ちょっとした飢餓感を生み出し、聴衆の関心を高めていく。話(噺)にリズムがあるんですね。その前の時間に演じた若手たちが、ともすると声量とスピードばかりが前面に出がちなのとは明らかに違う。桂 ざこばという噺家が、ただの関西ローカルTVタレントじゃないことを再確認(失礼)!

昼席は16時で終わり。最後の演目の方は、睡眠不足と疲れが祟って、心地よく居眠りしていました。それはそれでまた1/fゆらぎの絶妙のしゃべりということで(ホントか?)。


噺家さんたちの真似はできなくても、ライブトークエンターテインメントとしての彼らの技は、自分が誰かに話を聞いてもらうように喋る上で、とてもヒントになります。あれは、画面で切り取られた情報だけではなかなかわからない。聞く相手を惹きつけるテクニックの、ほんのちょっとしたエッセンスでも、プレゼンテーションや会議、説明の機会などに大いに役立つはずです。

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