
あまりやりたくなくても、自分のエナジーをセーヴするには、取らざるを得ない手段もあるのです。Twitterのヘイトやデマ、暴言が酷いアカウントをまとめて一括ブロックするChromeの機能拡張、Twitter Block Chainを使ってみたので、その雑感など。
[追記 2023/10/08] E.マスクが、X (Twitter)のブロック機能を削除すると宣言し、他にもいろいろさらなる改悪を続けていますね。Twitter Block Chainは、API変更後も今のところ使えていますが、フォロワーの表示が「Verified Followers」と「Followers」とに分けられ、後者にだけ有効です。利用頻度は一気に下がりました。移住先探しは続きます… :'(
最近、Twitterで(Twitterに限りませんけど)ネガティブツイートを目にする機会って、さらに増えてる気がしませんか?ヘイトスピーチやデマ、クソリプ、フェイクニュース、極右・極左、spam、アフィリエイト、ジェンダー差別、ポルノ、デートマッチング、違法薬物、似非科学、ギャンブル情報など…。そこへさらに、新型コロナウイルスワクチンとウクライナ戦争で、もうお腹いっぱい。
いくら、聖も俗も、清も濁も、混沌の中で流れてくる「ネット上のガンジス河」としてのTwitterでも、ちょっと酷すぎる気がします。一応、報告機能があるとはいえ、Twitter Japanがあの意識ですし… :'( だったら、必要な自衛手段は取らなければ。
Twitter Block Chainはこんなツール
- Chromeの機能拡張(互換ブラウザーChromiumでも動作)、もちろん無料で、macOS/WindowsどちらでもOK。
- ネガティブな任意のTwitterアカウント単体ではなく、そのフォロワーを、まとめて一度にブロックできる。
- ブロックしたアカウントの一覧を、書き出したり、読み込んだりも可能。
- ブロックチェーン技術とは、何の関係もなし(紛らわしいんだけど…)!
Twitter Block Chainはこんな人向け
- ヘイトスピーチや誹謗中傷、クソリプ、デマ、フェイクニュースなどをツイートするアカウントの多さに辟易している人。
- パソコンで(も)Twitterを使うユーザー。
- 普段、Safariを使っている人でも、このためだけにChrome系ブラウザーを使うのはアリ。
Twitter Block Chainのココがいい!
- 一つずつちまちま手作業することなく、まとめてアカウントをブロックできる。
- SidekickやEdge、Brave、SRWare Ironなど、Chrome系ブラウザーで使える。
Twitter Block Chainのココは要注意
- TwitterのAPIの仕様変更のためか、使い勝手が予告なく変更される。
- ネガティブ度合いのしきい値を設定できないので、対象になるアカウントはすべてブロックしてしまう。無関係もしくは無邪気、リテラシーが低いだけ、監視のためにフォローしているアカウントまで巻き込んでブロックしてしまうことが避けられない。
- ブロックするアカウントが
多いと多くなくても、Twitterが一時的に利用制限されてしまう(500を越えた分はすべてエラーとしてスキップされる)。Webブラウザーのキャッシュをすべて削除し、一旦終了する必要あり。 - Twitter本体のブロックやミュートとは連動しない。すでにブロックしているユーザーは、ブロック済みとしてスキップされる。
- ブロックしたアカウントの一覧はエクスポートできるが、アイコンがないので文字列でしか認識できない。
- Safariでは使えない(最後を参照)。機能拡張の変換も試してみたが、今のところ動作しない。
- アカウントの大量ブロックによって、自身のソーシャルネットワークのエンゲージメントやソーシャルスコアが一時的に下がる可能性もある。
- 企業や公共性が高いアカウントでは、ブロックの基準や管理が難しいので、使用には注意を(サードパーティーサービスのミュートやフィルタで処理が妥当か)。
Twitter Block Chainの使い方:基本
- Twitter Block Chain機能拡張をChromeにインストールする。
- ブロック対象のアカウントを表示し、その「フォロワー」一覧を表示する。
- Twitter Block Chainを起動し、3つ並ぶボタンの一番上[Run Block Chain]ボタンをクリックする。
- しばらく待つと、ブロック処理が完了する。
- ブロックしたアカウントのリストを読み書きする場合は、[Run Export Chain][Run Import Chain]ボタンで操作する。ブロックしたアカウントの一覧は、機能拡張を右クリックして「オプション」で確認。
- Twitterが一時的に利用制限されてしまうので、Chromeを再起動!
Twitter Block Chainの使い方:オススメ
Twitter Block Chainを使うと、API制限にでも引っかかるのかBOT対策なのか、一度にブロック処理するアカウントの数に関係なく、Twitterが一時的に利用制限されてしまうことが時々ありました。ログアウトやリロードすらできなくなってしまう状態です。HootSuiteのような、サードパーティーサービス経由だと、そのままTwitterを使い続けられるようです(ただし、これがまた変更されている可能性については前述の通り)。
条件を変えていろいろやっているとアタックではないかと疑われ、以下のように『お前、本当に人間か?証明しろ!』アラートが表示されます。この手続きが終わらないうちは、Twitterを開いている他のデバイスでも一時的に操作できなくなってしまいます。
そこで、試行錯誤の結果、今はこういう使い方に落ち着きました。
- 内容が目に余るツイートを見つけたら、Twitterの機能で報告しておく(Twitter Japan仕事しろ!)。この程度なら、Twitter Block Chainまでは使わない。
- もし、そのアカウントが日常的にヘイトスピーチやフェイクニュースをツイートしていて、フォロワーが多ければ、Twitter Block Chainを使う。Twitterに報告すると同時に、Twitter Block Chainを使う準備として、アカウントのURLをテキストエディターなどに適当にメモしておく(複数メモした場合は、フォロワー数が多いだろう順に適当に並べて上から機械的に処理しています)。
- メインで使っているデバイスとは別のデバイスで、デフォルトではないWebブラウザーを開き、Twitterにログインする。私の場合、メインで使っているSidekickではなく、Braveを利用しています。
- 対象アカウントのフォロワー一覧を開き、前述の手順でTwitter Block Chainを走らせる。
- 前述のエラー画面になるので、Webブラウザーの履歴やCookie、キャッシュをすべてクリアし、ブラウザーを終了させる。
- もし、自分が関心があるツイートをタップして、そこにブロックしたアカウントがぶら下がっている場合は、前後のコンテクストを確認して、ブロックを解除したり、ミュートに変更することも検討する。
- Twitter Block Chainは、どんなに使いたくても1日1回に留めておくのをオススメ。ヘイトやフェイクアカウントをわざわざ検索してまで追いかけず、精神安定のためには適度にスルーしておく。忘れてしまうのも手。
ブロックやミュートのやりすぎは諸刃の剣
Twitterアカウントをブロックするツールを紹介しておいていうのも何ですが、使い方についてはもう一つ注意しておきたい点があります。
それは、ブロックもミュートも、やりすぎると情報のダイバーシティーを阻害する要因にもなって、結果として自分にプラスにならないかもしれないということ。いわゆる、自分をここちよい防御の泡の中に閉じ込めてしまうフィルターバブルであり、閉じた世界でいつまでも巡る残響音が正解であるかのように勘違いするエコーチェンバー現象です。
自分が誰かをブロックできるということは、当然、人からされることもあります。タイムラインに罵詈雑言が渦巻くとはいえ、片っ端からブロックしていると、段々、自分が受け入れられるだけの世界しか見ないように、視野を自分で狭めてしまうことになります。蛸壺の心地よさから出られなくなるかも。
私が、Twitterのブロック機能を使うようになったのは、14年のTwitter歴からするとかなり遅めだった気がします。というのも、Twitterに限らず、適度なノイズやグラデーションこそが豊かさを生むと考えているので、ミュートはしてもブロックはできればしたくなかったんです。自分と見方や考え方が違うだけかもしれず、たまたま勢いで酷いことを書いているだけかもしれないし、ヘイトスピーチのアカウントをフォローしている人が似た考えを持っているとは限らないし、何より自分だって似たようなもんだし :'(
ただ、ここ数年はそうもいっていられないほど酷いですよね。ヘイトや攻撃的なツイートをする人のアカウント情報まで見にいくと、どうもそんな牧歌的な人物ではないことが、段々と目に付くようになってしまいました。他者を攻撃したり、犬笛を吹いてターゲットへの攻撃を誘導することで、自分のプレゼンスを維持する人がいます。プロフィールで宣言しているヤバい人もいるし、完全にガチ。このTwitter Block Chainも、津田大介さん @tsuda が使っているとツイートしていたのを見掛けて、使ってみた次第です。
今までのところ、私が先回りでブロックされていることはあまりありませんし、影響力がない私宛に直接、攻撃してくる人もほとんどいません。ただ、フォローしているアカウントへの誹謗中傷やクソリプが酷いTwitterの様子は、とにかく目に余ります。世界で第2位のアクティブユーザー数がいるにも関わらず、何の管理権限も持っていない「離島の営業所」であるTwitter Japanが、適度なゴミ掃除を放棄している以上、自主的に動いた方がよさそうだと判断しました(海外も酷いのは酷いですけどね…)。
以前は、Twitterの公式の機能で、ブロックやミュートしたアカウントの一覧を書き出して保存しておくことができたんですよ。この機能がどういうときに便利だったかというと、取引先からの依頼でAというアカウントでTwitterを運用しているときに、問題ある言動が見られたり、運用テーマに反する性格のアカウントを発見したら、ブロック。ある程度溜まったら、そのリストを書き出します。そして、BというアカウントでTwitterを運用するときに、そのリストにあるアカウントをブロックしてスタートしていました(インポートしていたか、手動だったか失念…)。
ただ、なぜかその機能がTwitterからなくなりました。サードパーティーのサービスを使うほどでもない場合には、残念ながら、このTwitter Block Chain機能拡張が役立つかもしれません。しかし、たまたま虫の居所が悪くて暴言を吐いただけかもしれない人や、十分なリテラシーが備わっていないために、間違った情報を鵜呑みにしていただけかもしれない人まで、無条件にブロックしてしまう弊害もあります。それに、結果としてネット世論の分断に、実は自分自身が積極的に関わっているのではないか?という迷いは常にあります。
最近、ヘイトや暴言を吐く無視できないアカウントが目に入ると、そのフォロワーの大半はすでにブロック済みなことも増えました。その点では、このTwitter Block Chainが有効に機能しているのかもしれません。しかし、巻き添えで、間違ってブロックやミュートしてしまっている可能性は、常に頭の隅に置いています。無実の人と先回りブロックしてしまうことで、折角の縁を切ってしまっていたり、不快にさせているリスクはいつも頭を過ぎります。
私の場合、「ゆらぎ」を取り戻すささやかな手段として、他の人のツイートなどでたまたま目にしたのがブロックしているアカウントだった場合、直近のツイートやプロフィールをざっと眺めて、その時点で特に問題がなさそうだと感じれば、ブロックを手動で解除したり、ミュートに変えることもあります。「恩赦」と呼んでますがw 巻き込みでブロックしてしまっていたアカウントは、タレント事務所や飲食店、小規模ビジネスなど、恐らく相手のアカウントの質を確認せず機械的にフォローしたり、有料アカウントを買っているアカウントが多い印象です。フォロワーの数だけを追うことが、結果としてネガティブに作用してしまっていることにも、気付いていないんだろうなぁ :'(
ただ、わざわざブロックを解除するような面倒な手間を掛ける機会も限られているのが現実。本当は、社会にとっての継続的な危険度がしきい値で判定できたり、アカウントによってはブロックを一定期間後に解除されるとか、執行猶予的なユルさが欲しいところですけどね。とにかく、テクノロジーに依存した使いすぎにはお互い注意しましょう。
なお、macOS Big Sur 11.0では、ChromeやFirefoxなどの機能拡張を、Safari v14用に変換して使えるようになりました。そこで、Apple M1+macOS Big Sur 11.0でSafari用に変換して試したところ、他の機能拡張はそれなりに動作したんですが、Twitter Block Chainはダメでした :'(
希望は、macOS 12 MontereyでChromeやMozillaとSafariの機能拡張がやっと共通化されると、WWDC 2021でアナウンスされたこと。こちらの方は大いに期待できそうです。そのうちまたテストしてみましょう。
ただ、テクノロジーの使い方としてこれでいいのかという疑問が消えるわけではありません。ブロックすべき情報に反応するということは、自分自身の中に相似形をした何かがあるという証拠かもしれませんし。しつこいですが、使う場合は慎重に。