
将棋界で初の7冠達成は、今から20年前の1996年。その10年ほど後に発売された古い本ではあるが、独特のストイックな視点からのものの見方・考え方は、現代人にも大いに刺激になる。
著者が生きる世界は、一見、もの静かで伝統的な思考実験の場に思えるが、激烈を極めるプロの勝負の場でもある。そして、伝統文化特有の師弟関係や先輩後輩の繋がりもある一方、パソコンやAI、ビッグデータ、ディープラーニングなどのテクノロジーで激変を続けている。これは、すべてのビジネス業界で起きているか、これから起きることに他ならない。
とてつもない頭脳とたぎるような闘志の持ち主でありながら、奢ることなく、冷静かつ謙虚な姿勢は、万人が真似できるレベルではないことは確かだ。しかし、セルフコントロールやアンガーマネージメントというテーマは、まさに今を生きる人が挑戦し続ける課題でもある。