夏休みの宿題の失敗で振り返る、仕事を任されたときの8箇条

西日本の多くの小中学校では、8月31日で夏休みが終わります。私が夏休みと聞けば、ヒリヒリとした感傷と共に今も思い出すのが、中学2年生の夏休み。実は、数学の宿題をまったくやっていかなかったんです。一問も。

詳しい話は後回しにするとして、そんな恥ずかしく情けない記憶をきっかけに、誰かから仕事を命じられたり、何かを任されたらやるべき8つのことを考えてみましょう。

前提として、上長から出された指示は真剣に聞いておいた方がいいらしいですよw メモするのは当然として、常に目につくように、いつでもすぐに取り出せるようにしておくのが大事。デバイスがスマートフォンでもデスクトップでも、紙のノートでも関係なし。自分にとって使い勝手がよくて、目的を達成できるなら何でもあり!

仕事を任されたときの8箇条

  1. 納期を確認しよう
  2. 何が成果か、確認して合意しよう
  3. 仕事を小さなタスクに分けよう
  4. 難しい仕事から取り掛かろう
  5. 行き詰まったら、すぐに相談しよう
  6. 説明責任を果たそう
  7. ゼロから考えず、前例を探そう
  8. 誰かに依頼するなら早めに、1から7を守らせよう

1.納期を確認しよう

納期は、ちゃんと守りましょうというのが、ビジネスでは基本のお約束。『本当の締切っていつですか?』と聞いている場合ではありません。『今週いっぱい』は、月曜日の朝に相手が仕事を始める直前ではないんです。

スケジュールは機械的に時間を割っただけでは立てられないものの、タスクごとに掛かりそうな時間を見積もって、納期から逆算すると、大体いつまでに何をすべきかが把握できます。ただ、余裕を取らずに夜や週末を当てにしていると、大体、失敗します。

夏休みなら、夏休み明けの最初の登校日が提出日なので、その前日が締切(保護者が忙しい日でもありますが…)。昔は8月6または9日と、20日頃の2回ほど出校日がありましたよね?せめてその時、宿題の進み具合を自分でチェックしたり、友達と話してみておくべきでした。

2.何が成果か、確認して合意しよう

何が成果なのか、分かりきっているようなことこそ、きちんと確認しておきましょう。何も聞かないのは、理解済みだとみなされます。『知らなかった、忘れていた』はただの言い訳。

ここで重要なのは、実は目標と違って必ずしも数値ではゴールが示されないこと。大きなプロジェクトだと、これはコンセプトに直結しています。よくありがちなのは、枝葉ばかりが気になって、幹や森が見えなくなってしまうこと。この後説明する個別のタスクも、この成果のためであることは、常に意識して振り返ることが重要です。

先生から指示された宿題には、合意も何もありません。出せといわれたなら、とにかく出さねば。それがイヤなら、出す側に回るしかありません。

3.仕事を小さなタスクに分けよう

タスクを小分けする理由はいくつかあります。一つは、担当者ごとにする仕事が違うから。小分けしておけば、それを誰が責任を持って処理するかが明確になります。ただ、細分化し過ぎると今度は管理が煩雑になりますし、一つのタスクに複数の担当者を割り当てるのも有効。

また、タスクを細分化すれば時間と順番を見積りやすくなります。例えばカレーを作るとき、玉ねぎを刻みだしてから、誰かに肉を買いに走らせるようなことをしてはいけません。煮込むよりずっと前に、米びつの米をチェックした方がいいでしょう。

もう一つの見逃せないタスクを小分けするメリットが、小さな成功体験です。とんでもないことを実現するのにも、まずは目の前の小さなことを少しずつやっていく以外ない…イチローもそんなことをいってましたっけ。すぐやったら簡単に片付くことも適度に間に挟みながら、自分を無理矢理にでも鼓舞するミルフィーユにするのはオススメ。

平日に毎日1問とか、少しずつでもやればよかったんですよね。

4.難しい仕事から取り掛かろう

タスクを小分けするもう一つの意味は、面倒臭くて時間が掛かりそうな、気が重いタスクから手を付けるのがポイントだから。人間、イヤなモノほどついつい後回しにしたくなるものですが、詳細がわからないことそのものが恐怖の根源だったりします。取り組んでみて、記録を残しながら対策を考えましょう。

苦手な数学の2年生の宿題は、恐らく何が出題されているのかを理解するために、1年生の1学期にまで溯ってのリスタートが必要だったはず。壮大すぎて、考えただけでうんざりします。ただ、今なら過去問題や例題、考え方の解説、学習サービスやツールが豊富にあるので、それらを駆使すれば光明も見えてくるのではないか、と…

大抵、最後の方の問題が一番タフなので、まずはこれの日本語としての理解ぐらいから進めてもよかったはず。

5.行き詰まったら、すぐに相談しよう

難しいタスクで躓くのは当然で、早めに何度も迷ったり失敗しておくのは、本当に大事なんです。そのため、信頼できる仲間や先輩を持っておくのは大切。タスクが滞って問題になったり、プロジェクトが炎上しそうになる前にヘルプしてくれるような、相談相手との関係を日頃から育てておきましょう。

ただ、ヘルプは自分からはっきりと出さないと気づいてもらえないんです!これは、社会人の重要なサバイバルスキルらしいですからね…苦手な私がいうのもアレですが :'(

Twitterは一つの相談場所だと思いますよ。タイムラインという世の中には、誰かに教えたがったり、話を聞かせたがる人たちが溢れていますからw もちろん玉石混交ですし、得られたアドバイスなり答えそのものをコピー&ペーストすると、自分の力になりません。出所が可視化されるのもリスク。上手く利用すれば、的確なヒントを得られるだけでなく、人間動物園の無料見学も体験できます。

友達がいなかった(今も…)のが一つの敗因でした。助けてもらったり、激励してくれたり、それを自分が誰にもしなかったんです、きっと。

6.説明責任を果たそう

求められたアウトプットに対して、なぜそういう結果に至ったのか、きちんと他者に説明できるように自分で咀嚼しましょう。つまり、説明できないということは、自分のモノにできていないということ。

ミスも早めに、正直に認めた方が、被害拡大は最小限に抑えられます。ごちゃごちゃ言い訳してもバレますし、何より評価が下がります。しかし、これが本当に難しいんですよね…人間、追い詰められた時に本性が見えるもので。

数学の宿題で説明責任が求められることはないですよね、提出しないような反抗的態度を取らない限り。つまり、提出そのものが説明責任を果たすこと。やっぱり、素直に出しとく方がいいかも…出さずに済む立場や世界になるまでは。

7.ゼロから考えず、前例を探そう

仕事では、以前やった内容をベースにしつつ今の時勢に合わせた内容に変えるとか、前年度の事例をテンプレートにして新しい内容を追加・編集するのは、目的達成のための最短ルートです。前任者が適切にデータを整理して残してくれているかどうかも、重要なポイントだったりしますが。

コピペやパクリではなく、リミックスやリサイクル、マッシュアップを通じて自分のモノにすることは、これまた学習でも必要なスキル。考え方や見せ方を参考に換骨奪胎し、新しいモノにアレンジし直すことで、いつの間にかオリジナルにしてしまう。Everything is a Remix. 世の中は、それで回ってきたんですから。

数学なんて、毎年全く新しい公式が発表されたりするわけでもないので、前例でないにしても、似たような過去問題は沢山あるはず。今なら、探して参考にし放題ですよね。

8.誰かに依頼するなら早めに、1から7を守らせよう

仕事は、自分一人で完結することはまずないわけで、自分が人から依頼される側であっても、逆に相手に依頼することはそれなりにあります。もちろん、さらに他の他者に自分が依頼する関係も、複雑に絡み合うわけです。その時、前述の1から7を(すべてではないにしても)共有して確認しながら進めることは重要です。

若いときは、物事を得意・不得意で早めに諦めたりせず、ギリギリまでもがくことも必要な体験だと思います。取りあえず、規定のレベルは自力でクリアを目指して頭を使いたい!しかし世の中には、自分が得意でないのに重要なことがあまりに多過ぎるんですよ…

なので、もし私が今の小賢しいノウハウを身につけた(身についてしまった)状態で中学2年生に戻るなら、数学の宿題は得意な同級生に外注するかもしれませんw その代わり、自分が好きな国語や美術、倫理とか、そっち方面の宿題とバーターする。もちろん差別化も考慮の上で。

実際、こういう分業制を取り入れている生徒や学生っていると思いますよ。締切に間に合わせるための保護者の投入なんて、昔からやられてたわけですしね 😛 でも、残り時間が厳しくなると、条件の遵守どころではなくなるのも事実。

自分で設定する、大人の夏の宿題は終わらない

冒頭の夏休みの宿題の話をもうちょっと書いておきます。なぜ、私が数学の宿題をやっていかなかったのか?その理由は、特にはっきりしたものはなかったんです。

確かに、元々算数は苦手でしたし、『俺のことを嫌いになっても、数学を嫌いになるな!』が口癖の、強面の数学担当教師Fも好きではありませんでした。かといって、体制に対する孤高の反発というような、中二病的パンクスピリットからの行動ではなかったんです。単に、真剣にこなさなければならないタスクだとは思っていなかっただけ。今からすれば、とても信じられないんですが、完全に舐めていたんです。しかも、その代わり何かに打ち込んだということもありませんでした。考えがとことんスイーツすぎました。

ことの重大さを初めて意識したのは、夏休み明けに、自分以外の全員が数学の宿題を提出することを知った瞬間でした(遅すぎだろ!)。日頃、恥を行動規範のひとつに据えていた典型的な日本人少年でしたが、冷房のない教室で独り血の気が引いて凍えていました。当然、数学教師Fからは問い詰められるわけですが、最悪なのは、理屈の通らない言い訳をあれこれし続けたこと。情けなさ過ぎて、内容も一部未だに覚えているほどです。

結局、クラス全員の目の前で強烈に体罰を喰らい(そんな時代でしたけれど自分としては納得済み、まぁそりゃそうだわな)、担任には職員室へ呼び出されるほどの出来事になりました。あんなに酷かったのは、後にも先にもあの時だけでした。教師Fも数学も、終わった夏休みも、緊張感のなかった自分も、何もかも一編にどうでもよくなりました。その後、3学期にはまた数学の成績はV時回復したんですが、Fにそのネタをいじられる度に脂汗をかき、夏の古傷は恐らくしっかりと内申書に残ったのでした。

今の生徒や学生たちは、補修や塾、部活、アルバイトに忙しくて、夏にしかできない貴重な体験をするどころじゃないんでしょうね。まして、コロナ禍で移動や集まりも制限されていますし。

夏休みの宿題が持つ意義なんて子どもには分かりませんでしたが、大人になってからさらに重要性を増した気がするんです。それは、出された些細な課題をどうクリアしたかではなく、自分なりの課題を発見して目標として設定し、それに取り組むという、より困難なタスクのように感じます。その意味では、実はその多くが未だに終わっていないんですよね。


ということで、宿題の締切に追われている学生や生徒(と、その保護者関係)の皆さん。格好悪くても、最後の最後まで足掻くことも時には重要らしいですよ。暑い夏も、過ぎ去ればまた楽しい想い出。

そして社会人の皆さんにお勧めのプロジェクト管理サービスは、Asana。