炎上していた例の協会の適切な事後対応にみる信頼回復の教訓

近くにすら行ったことがないんですが、こんな山岳地帯ではない?w いつか行ってみたい場所の一つですけど。

8月末、群馬県の尾瀬国立公園を案内する自然ガイドの団体「尾瀬ガイド協会」の関係者が、Twitter上で差別的ツイートをいくつかしていたことが原因で炎上していました。しかし、9月に入って同協会の謝罪と対応の発表を目にした時、外野からで大変僭越ながら、私はとても評価しました。なかかなできることではありません。そのことについて書いてみます。

『やってはいけないことをやって、それを謝罪する』。そんなことは当たり前すぎなんですが、それができない組織や社会人が、余りにも多すぎる昨今。私が同協会の対応を評価した主な理由は以下の通りです。

  • 組織の代表者が記名で発表している。
  • 問題が発覚した8月23日から10日で、以下の全てを決定して発表しているのは、組織としてはそれなりに迅速な方。
  • 経緯と問題点、今後の方針までがセットで提示されている。
  • ひと言も「誤解」という単語が使われていない。言い訳や、個人や他者への責任転嫁をしていない。
  • 経緯が時系列できちんと整理されている。しかも、ツイートの内容を誤魔化したりぼかしたりせず、そのままテキストで明記している。
  • PDFの添付や埋め込みではなく、Webサイトのページで直接表示されている。
  • 個人の問題として終わらせず、組織として何が問題だったか、原因も詳しく説明されている。
  • 今後の方針として、関係者の処分(ちなみに、5chではすでに問題となった人物が特定済み)や新体制が発表されている。

もちろん、決して手放しで大賛成できるかというとそうではなく、そもそもこういう事態になってしまうまでの、組織としてのガバナンスはどうったのか?という問題には、フォーカスを当てざるを得ません。それが問題だったからこその、関係者の処分と組織体制の変更なんでしょうが、それで上手く機能するかは未知数なんですよね。

同協会がまた活動を再開するとしたら、正直、組織体制だけでなく組織名やドメインも新しくし、教育や管理体制とサービスも一新し、2022年度からリスタートぐらいした方がいいような気もします。SEO的な観点からも。

同協会や観光業に限らず、新型コロナウイルスの変異株はまだまだ要注意ですし、インバウンド需要の回復も当面は期待できない中で、それだけの予算や時間、人が確保できるかは微妙でしょうが、だからこそ今のうちに地道な信頼回復で下地を作り直しておく必要がある気がします。

私が感じた教訓は以下のような点です。

  • ソーシャルネットワークの運用は、ガイドラインの整備や統合型マネージメントサービスの導入を含め、教育と体制作りまでがセット。サービスやツール、システムなどで対策できることと、人や組織として対策すべきことの組み合わせ。
  • トラブルこそ、早目に報告・相談。人や組織に被害が出ていれば、真っ先にそれ以上の被害を広げないこと。すぐに非公開や削除などの対応をした方がいいことと、現場を保存すべきことを切り分け。
  • ミスを犯した人ではなく、問題にフォーカスして言語化。
  • 何が起きたのか、事実関係を冷静に把握。なぜ問題なのか?本来はどうすべきだったのか?を考察。どうすれば改善できるか?具体的に説明。
  • もし、再び同じ問題が起きたら、どうすべきか?事前の具体的な予防策を検討して実施。
  • 関係者の解任や降格、始末書の提出などの処分は、先にすべきことがある程度終わってから。

問題に正面から向き合い、その後の対策が素晴らしければ、トラブルを起こす前の評価が決して取り戻せないわけではありません。むしろ、こうやって新しい層にまでリーチする一つのきっかけになることもあります。

試しに、次にもし自分の観測範囲に引っかかるような組織が何かトラブルを起こしたとき、今回の協会と同じような対応ができているかチェックしてみてください。不幸にして、自分が所属する組織に関係している場合なら、なおさらです。それは必ず、仕事で自分がミスしたときにどう行動すべきかにもつながっています(もちろん私自身も!)。