
AIを使って写真を高画質に変換できるソフトウェア、Topaz Gigapixel AIを試して、Photoshopでの拡大と比較してみました。このソフトウェアには以前から注目していて、トライアルを触ってみたりしていましたが新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっていた2020年2月末頃、急激な円高になっていたので9,100円ちょっとで購入しました。
一般に、写真を単純に拡大すると、どうしても画質の低下は避けられません。それでも、リサイズ(サイズ変更)する過程で、できるだけ画質を落とさないようにリサンプル(サンプリング変更)処理するわけです。Photoshopには「バイキュービック法」「二アレストネイバー法」など、プロレベルの画像補間方法がありますが、Gigapixel AIは、写真をAIで画像解析し、補間しながら高画質な画像に自動変換するプロフェッショナルツールです。
そこで、両者を比較してみました。ブログでのプレビューだけだとなかなか十分には伝えられませんが、少しでも参考になれば幸いです。
Gigapixel AIをオススメできる人
- 画像編集のプロ
- 今ある写真を4K/8Kに耐えられる画質にしたいビジュアル系クリエーター
- クライアントから提供された写真が小さくて困ることがよくある、主に印刷物制作系のデザイナー
- 昔のデジカメやケータイで撮影した写真、プリントからスキャンしたデータをキレイにしたい人
- 間違って元の大きな写真を削除してしまって、プレビューしか残っていないのをこっそり何とかしたい人
- Photoshopユーザー
Gigapixel AIの特長
- AI技術を採用した、写真のエンハンスツール。
- デフォルトで最高で6倍の高解像度に、高画質で拡大できる。数値入力で任意のサイズ指定が可能。
- サイズだけでなく、解像度(ppi)を設定できる。
- フォーマットはJPG/PNG/TIF。
- カラープロファイルの維持/無視も設定可能。
- 人物の顔に特化したエンハンスや、ノイズ低減やブラー除去が可能。
- 価格は$99.99(をクーポンで15%OFF)の買い切り。
- macOS/Windows両プラットフォーム対応。
Gigapixel AIのココがいい!
- Photoshopで拡大するよりも高画質。
- 複数ファイルをバッチ処理できる。しかも個別に設定が可能。
- Topaz Labsは、他にもノイズリダクションやビデオ系ツールなどのラインナップを持つ企業。
- 9,000円ちょっとと、手軽。しかもライセンスがサブスクリプションじゃない!
- しっかり試せるトライアル版あり。
Gigapixel AIのココはイマイチ…
- 処理時間とCPUへの負荷は相当。
- 何れ(または実はすでに?)、Photoshop+Adobe Senseiも同等以上の機能を実装しそう…
Photoshopの処理と比べてみた
写真を4倍に拡大したデータを、Photoshopと比べてみました。
使い方はシンプル。メインウインドウに写真をドラッグ&ドロップして登録し、拡大率や画質、ファイル名の識別子、書き出し場所などを設定して、処理をスタートさせるだけ。複数ファイルのバッチ処理も可能です。
テストで使ったのは、iStockのこのイメージ(いつもお世話になってます!)。パンデミック時の広告物に利用できるように、無料配布されていたファイルを使ってみました。階調や細部が分かりやすい、人物の顔の部分にフォーカスしてみました。
○オリジナル
データサイズ:5.9 MB / 画像サイズ:w 5121 x h 3414 px
フォーマット:JPEG(以下同様)/解像度:300 dpi(以下同様)
○Photoshop (x4)
データサイズ:54.7 MB/画像サイズ:w 20484 x h 13656 px/変換処理時間:約15秒
○Gigapixel AI (x4)
データサイズ:279.6 MB/画像サイズ:w 20484 x h 13656 px/変換処理時間:約4分
処理はかなり重く、CPUに負荷
Gigapixel AIで処理を開始すると、CPUを相当使うためか、iMacのファンが唸り出しました。アクティビティモニタでチェックすると、その時の処理の大半を持っていってる感じです。時間も思った以上に長く、4分ほど掛かりました。マシンを使わない間に放置して連続処理させるのがよさそうです。ただ、コミュニティーには『バッチの上限が508枚なのが少ない!』という書き込みあり。
ディテールや階調は、Gigapixel AIがキレイ
4倍に拡大した写真で、さらに人物の顔の部分を比べてみました。プレビューレベルでは、はっきり違いが分かるほどの大きな差はありませんが、Gigapixel AIの方が階調が豊かに感じます。実際、ヒストグラムやトーンカーブをチェックしてみても、そのことが裏付けられています。
ファイスサイズは5倍ほど違いがありました。実際に使う目的に応じて、ここからさらに何か処理をすることになるでしょう。
人物以外にも、無機物や風景、複数ファイルのバッチ処理など、いろいろ試してみる価値は十分ありそうです。個人的には、昔撮影した低解像度の写真も、いい感じに変換できないか?と考えています。
また、ウォーターマークが入っていない小さな写真も、Gigapixel AIで拡大すれば十分に使えそうなクオリティーに変換できるものもありました。例えば、『小さいサイズの写真は無料で使ってOK、大きいサイズは買ってください』といったクリエイティブシーンでの使い方やライセンスには、直接・間接で影響するかもしれません。
今回紹介した、AIによる写真の拡大アプリケーションGigapixel AIの後日談も書きました。やっぱり、ある程度時間を掛けてちょこちょこ使ってみないと、気付かないこともあるもの。また、興味があれば、ビデオ用のVideo Enhance AIのレポートも読んでみてください。画質の点では、実はこっちの方がキレイなんじゃないか!?とも。
[追記 2022/12/01] 折角、いろいろな方にここの記事をいろいろ読んでいただいて、アフィリエイトリンクから購入して支援いただいたのに、Topaz Labs社からいきなりアカウントを強制閉鎖されてしまいました :'(
理不尽さには憤るものの、いちユーザーとしてできることは限られるのでここ数ヶ月モヤモヤしています…
https://topazlabs.com/