コロナ時代の自転車通勤通学手段としてのシェアサイクルを考える

新型コロナウイルス対策として出ていた緊急事態宣言が解除されたことで、元通りとはいかなくても、徐々に仕事や生活サイクルがリスタートし始めています。ただ、公共交通機関は、どうしても閉鎖空間で他者と密接せざるを得ないので、通勤や移動手段として使うには、躊躇するところ。そこで、シェアサイクルという手段を考え直してみましょう。

私は、MaaS(サービスとしての移動手段)を体感するために、機会があれば(むしろわざわざ作って)、いろいろな乗り物に乗ってみています。シェアサイクルも、東京や福岡、大阪だけでなく、神戸や沖縄、佐賀、北九州、台湾などでも、使ってみました。観光地の需要は当面は回復しないでしょうから、シェアサイクルの通勤ニーズは拡大しそうな気がします。今まで使ったことがなかった人も、これを機会に一度乗ってみるのもいいと思います。

主なシェアサイクルの紹介や、基本的な使い方は、以下の記事をご覧ください。

コロナ時代のシェアサイクルはココがいい

  • 密閉ではない。例えば、通勤ラッシュの交差点周辺などを避ければ、基本的には人が集まってしまうことはない。サイクルポート以外では、近接もしない
  • 利用時間帯移動ルートを自分で選べる。
  • 自分の自転車ではないので、盗難や管理、駐輪場所、電動の場合の充電などを心配する必要がない。
  • 電車やバスよりも、距離あたりの利用料金が安い場合も。サービスによっては、月額利用プランもあり。
  • 自然と、運動不足の解消にもなる。
  • 使えるサービスの地域やポートの設置場所も徐々に増えている。シェアサイクルというサービス自体も知られるようになっている。
  • ワークスタイルの変化や、インバウンド需要の激減で、シェアサイクルの台数に余裕が生まれて、以前よりも利用しやすくなっている地域もある。
  • マスクをするかどうかは、周囲の状況や活動量次第か。

コロナ時代のシェアサイクルはココに注意

  • 他者とシェアして、直接体が触れる以上、セルフケアが必須。ハンドルだけでなく、サドルやかご、キー、レバー、操作パネルなど、今まで汚れを注意しなかったところも注意。
  • マスクをしたまま呼吸がしづらい状態で激しく運動すると、体に過度な負荷が掛かる。
  • 通勤の交通費や事故に遭った場合の処理など、就業規則の確認や変更が必要な場合も。
  • 前かごはそれほど大きくないので、ハードケースタイプの荷物は厳しい。背負うリュック式か、斜めたすき掛けタイプに限定されるかも。
  • 都市の中心部や観光地にしか普及していない。今の社会状況から考えると、従来のようにサービスが広がっていくとは考えにくい。なお、観光地のシェアサイクルは、観光目的以外の利用を許可していない場合もある。
  • 梅雨から夏場、残暑、台風シーズン、冬場などは、使えない時が多くなる。
  • 屋外のサイクルポートは、外気に晒されているため、直射日光や風雨による汚れや痛みは避けられない(ただし、多くのサービスでは、巡回員が定期・不定期にメンテナンスしている)。
  • サービスが知られるようになり、通勤や通学に使われるケースが増えている。利用者が同じ時間帯に集中するため、朝は駅周辺や郊外、夕方は都市部や学校周辺で奪い合いになることも。逆に、返却するポートの空きが足りない場所では、溢れると周辺の違法駐輪に。
  • 一部の利用者の交通マナーや、自転車の取り扱いが乱雑なのは相変わらず。一部のサービスでは、追加料金やペナルティーが発生しないのをいいことに、自分の自転車のようにチェーンでロックしたり、オートロックの建物の中に持ち込んで使い続ける例も。

ボディーケアグッズは必須

自転車は、巡回員の人たちが適度にメンテナンスをしてくれているようですが、手間が増えれば頻度は低下しているはず。何より、チェックするのは、車体の状態やポート周辺の状況だけで手一杯でしょう。

最低限の自己防衛として、携帯用アトマイザーに入れた消毒液やウェットティッシュは不可欠でしょう。また、ウイルス対策だけでなく、軽く運動した後に汗ばんだら、化粧室やロッカールームでサッと汗を拭くぐらいの余裕は見て、仕事を始めたいもの。バッグやロッカー、デスクなど、あちこちに小分けして、サッと取り出せるようにしておきましょう。

手袋もいいんですが、季節によっては薄手でも蒸すでしょうね。ただ、洗い過ぎている手の保湿にはちょうどいいかもしれません。日焼けの紫外線防止と機能を兼ねた商品が出そうです。

ルートを見直して、複数考えておく

オフピークが推奨されているとはいえ、朝は人の移動が最も多い時間帯。駅周辺の自転車が全て貸出中になることもあるので、『一番近いポートで借りるならルートA、駅の向こう側ならルートB、XX駅までは電車に乗って、そこで借りるならルートC、電車の事故や遅延を考えると、ルートAとBの合わせ技』のような、シェアサイクルに合った通勤ルートを見直して、複数考えておくのも手です。

もう一つ、ルートを見直した方がいい理由は、交通安全や体力のため。交通量が少なかったり、道幅に余裕があるところ、比較的平坦なルートを選ぶのがいいでしょう。運動不足で体力が落ちると、抵抗力も弱りますが、ストレスやリスクはできるだけ減らす方向で。

公共交通機関との併用ルートも

完全リモートや、車移動ができなければ、都市の中心部でない限り、電車やバスの利用は避けられないでしょう。季節によっては、日差しや雨風が厳しい時もありますが、汗でドロドロになったり、濡れてまで自転車に乗りたくないじゃないですか。現実的には、公共交通機関とシェアサイクルを併用することも考えておいた方が無難です。

電車も、複数の路線を乗り継いでいたならどっちかをシェアサイクルにしたり、出勤時だけ自転車にしたり、自分なりの工夫と無理のない使い方を。

時間のゆとりは必要

時間帯や距離、位置関係によっては、電車やバスよりも目的地に早く楽に着けます。ただ、当然、多くの人が同じことを考えるわけで、借りる自転車が1台も見つからなければ、公共交通機関にするような、変更のゆとりは不可欠。イレギュラーやハプニングも付きものなので、ゆとりを持って行動しましょう。

また、返却ポートが空いていないことがあって、これが結構辛いんです。時間が迫っているのに返却できないと、かなり焦りますから。この点、返却ポートを30分前に予約できるHELLO CYCLINGは、超オススメ!

可能なら複数のサービスに登録

リモートと出社のハイブリッドや分散出社・登校が奨励されるとはいえ、出勤・登校時間帯はどうしても重なってしまうもの。そのため、前述のように、借りる自転車が確保し辛かったり、返却場所が埋まってしまう可能性があります。複数のシェアサイクルサービスが展開されている都市部なら、念のため複数登録して、選びやすいようにしておくのも一つです。

例えば、東京なら、ドコモ・バイクシェアとHELLO CYCLING。福岡なら、チャリチャリとHELLO CYCLING。名古屋や大阪しかり。複数のサービスに登録して、よく使うサイクルポートの場所や台数、目的地までの位置関係などをチェックしておけば、選択肢が増えます。

  • ちなみに、ドコモ・バイクシェアには、月額会員プランや法人向けプランもあります。これを機会に検討してみる価値はあるかも。恐らくそれで、Uber Eatsに使っているライダーもいますよ。
  • ただし、ドコモ・バイクシェアは、同じシステムでも地域によってサービスが異なります。例えば、東京都港区でユーザー登録していても、神戸市や那覇市で利用する時には、それぞれ新しく別で会員登録しなければなりません。見慣れた赤い車体だと思っていると、使う直前になって超面倒臭いことになるので、出張で使う時には特に要注意!

交通ルールと、ルール無視に注意!

シェアサイクルの利用者に限りませんが、すべての人が交通ルールを守っているとは限りません。逆走に並走、追い抜き、無灯火、何でもあり。普段、あまり自転車に乗っていなかった人たちが、この一年で、路上に出る機会が増えた可能性もあります。

新型肺炎には掛からない代わりに自転車事故に遭うなんて、洒落になりません。ルートの選択と同様に、事故を起こさない・もらわないように、くれぐれもセイフティードライブで!

事故対策として、就業規則をチェックしておこう!

通勤に使うなら、最も妥当な公共交通機関のルートで交通費が支給されている場合、その扱いがどうなるのかは、総務に確認しておいた方が安心です。

もう一つは、通勤途中に事故を起こした・巻き込まれたときの扱いです。以前から通勤途中の自転車の事故は目にすることもありましたし、シェアサイクルを通勤に使っている人をよく見るようになったので、これは強調しておきたいところ。

私は以前、シェアサイクルではなく自分のマウンテンバイクで、派手に転んで大怪我をしたことがあります。リモートワークなどが可能になる遙か前だったので、酷い状態で通勤を続けました。数日入院してもおかしくないほどだったのに、思い出してもかなり無茶をしたな…:'(

コロナ禍を避けたつもりが、自転車事故でケガや入院なんて本末転倒。とにかく、こちらも一応、労災保険の基準など、就業規則に照らし合わせておくのが無難でしょう。

シェアサイクルとマイ自転車を併用するのもいい!

『いちいち、ポートを調べたり、自転車の有無や車体の当たり外れをチェックするなんて、面倒!』そうなんですw そうなりますよね。週の内、数回利用するならまだしも、毎日の通勤・通学手段としては、ちょっと手間になるのも事実。

そこで、自分の自転車とシェアサイクルを併用するという手もあります。職場と家の駐輪場が使えたり、サッと抱えてエレベーターに乗せられるとか、防犯の心配も少なければ、これを機会に自転車を買ったり、久しくインテリアになっていた自転車を使い、時々シェアサイクルにも乗るのもいいでしょう。皆考えることは同じのようで、実際に、通勤・通学用途として、自転車の売上げは伸びているようです。

例えば、普段はシェアサイクルと公共交通で、金曜日の出勤だけは自慢のロードバイクに乗るのもあり。仕事終わりにちょっと遠乗りしたり、自転車好きの仲間がいたら、たまに一緒にツーリングして帰るのもストレス解消になるでしょう。実際に、これに似たことをタイムラインで何度か目にしましたし、飲む・食べる以外のことを接点としたコミュニティー活動は、今後増えそうな気もします。これについては、また別の機会で。


本当は、サンフランシスコ市内中心部で普及しているような、電動キックボードで移動できると快適なんでしょうけれど、日本では絶望的ですよね。一部のスタートアップが実証実験を経てサービス展開してるようですが、原動機付き自転車扱いのため、ミラーやブレーキランプ、ナンバープレートを付けている間にどんどん「コレじゃない感」ばかりが増していますw

当面は、シェアサイクルを賢く使って、安全で快適な通勤・通学を続けていきましょう:D