私が勝手に選ぶコピー大賞2007「暴走万葉仮名」

今年いろいろ目にしたコピーやキャッチフレーズ、流行語を思い返してみます。その中で、個人的に最も強烈に印象に残ったのは、9月に読んだ、評論家である呉智英氏のコラムでした。

暴走万葉仮名:【コラム・断】難読名と偏差値

(前略)
毎年学生名簿を見るたびに、読めない名前が増えたなと思う。特に女子名。子(こ)や枝(え)で終わる読みやすい名前が少なくなり、画数が多く無理読みの漢字を使った名前が多くなった。暴走族のグループ名に多い方式なので、私は「暴走万葉仮名」と呼んでいる。

(中略)独自性・独創性(ホントに独自・独創かどうかはともかく)の追求の果ての「俺様(おれさま)化」である。むろん実績の伴う俺様ならけっこうだが、そうでないことを私は体験的に知ったのだ。

三浦展『下流社会』で下流の指標の一つとして「自分らしく生きる」が挙げられているが、暴走万葉仮名にもその「自分らしさ」が感じられてならない。

素晴らしい、素晴らし過ぎました。そう、『能書きの長さと食い物の旨さは反比例する』のです。ここまで的確な指摘に衝撃を受けて、深く同意した…というのを表明すること自体、いろいろ軋轢の基になるのではないかと4ヶ月近くも潜伏期間を設けていましたが、自分の性格の悪さをさっ引いても、やはり胸を張って大賞間違いなし!

ちなみに、次点は「スイーツ(笑)」。いや、このことばの視点も素晴らしい。似非マーケティング用語バッサリとでも言えばいいでしょうか。期せずしてどちらも、日頃自分が感じていた違和感ある世界をぶち壊すようなロックスピリットやキレを感じる現代のフレーズでした。