UK文化財指定ロックバンドとしてのQueen

映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、IMAXとScreenXで2回見たのだが、ドキュメンタリーのライブコンサートフィルムを見たような感覚になった【以下、ちょっとネタバレあり】。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』

エジプト系アメリカ人俳優のRami Malekが熱演したFreddieは、Mick Jaggerのようにも、”The Rocky Horror Picture Show”のFrank-n-Furter博士のようにも見えた。ほぼ吉田沙保里だった、”Bohemien Rhapsody”のミュージックビデオのFreddieの雰囲気はなかった。
映画では、84年にSun Cityでライブをしたことには触れられない。アパルトヘイト真っ只中の南アフリカにあった、白人居住区でのコンサートは非難の対象になった。また、LIVE AID自体も、酷く残念な結果に終わってしまった事実は描かれない。まるで音楽で世界を変えられるかのような、80年代の熱に浮かされた時代のあだ花として、飢餓に苦しく子供たちを必ずしも救うことはなかった。
映画とは違って、実際にFreddieがAIDSに罹患していることをメンバーに告白するのは、LIVE AIDの3年ほど後。しかし、エンディングが近づくに従って、流れる歌の歌詞が、今までになく沁みてきた。まるで自身の病状を知った上での、魂の選曲のように思えた。

IMAXを見てもらったBohemien Rhapsodyストラップ
ScreenXよりIMAXがよかったな

窓を開けて”Bohemian Rhapsody”を熱唱していて、隣から怒鳴り込まれたこと以外にも、このバンドとはいろいろ縁があった。最初の頃は、ラジオから流れてくる印象的な曲と、音楽雑誌『MUSIC LIFE』の記事と写真だけが頼りで、「動くQueen」を見たのは、かなり後になってからだ。
もう20年近く前のことだが、Queenには、ロンドンに連れて行ってもらったことがある。2000年に、映画やCMで使われた曲だけを集めた、日本限定のベストアルバム『クイーン・イン・ヴィジョン』がリリースされた。このプロモーションで、キャッチコピーを募集するキャンペーンがあり、いち音楽ファンとして『UK文化財指定ロックバンド — Queen』を応募した(「ヴィジョン」に何も絡めてないし、Wikipediaにも記録されていないし…)。それが採用され、副賞がロンドンへの往復券+ホテル宿泊だった。

本当に、音楽的な文化財であり、歴史遺産でもあったのだ。素直に認めることはなかったのだが、私はこの中二病全開と、妖しく濃密な世界観を持つバンドが、どうも好きらしい。それも、かなり。Freddieの27回目の命日も過ぎ、そのことを再認識した。
ほんの少しだけ、光と影のどちらもリアルタイムで知る世代としては、自分が、映画になるような歴史の一部を体験していたことを思い、単なる感動以上の感情を懐きながら見ていた。
とにかく、形の有る無しや、何を信じるかに関係なく、魂を揺さぶる風は確かに今も吹き続けている。