Jアノンが世界を制す!? Plague Inc.でファクトチェックを学ぼう


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ゲームPlague Inc.のフェイクニュースシナリオ

自分がウイルスになって人類滅亡を目指すゲーム、Plague Inc.(伝染病株式会社)。このゲームには、インフォデミック(情報汚染)というシナリオがあります。つまり、今、リアルに現実で起きていること!つまり、このゲームとシナリオは、現代を生き抜く人、全員がプレイした方がいいんです!

コロナウイルスとアメリカ大統領就任で、世界中が混迷を極める中、どんよりした気分を抱えて、このシナリオをリプレイしてみました。このシナリオのゴールは、情報リテラシーが高まって「ファクトチェック」が進まないように注意しながら、「知識を持っている」人数を抑えつつ「騙されている」人数を増やして、世界を嘘で塗り固めること。

つまり、今、このシナリオを改めてプレイすれば、どんなパラメーターがヤバいのか、人を騙したり騙されないためには何に注意すべきなのか、情報リテラシーの重要さが再認識できるというわけです。

Plague Inc.は、デスクトップパソコンやスマートフォンなど、さまざまなプラットフォームでプレイできます。自粛中にNintendo Switchでプレイした人もいるかも。ボードゲームもありますが、そっちはプレイが終わるたびに消毒必須なのかもしれませんね。具体的にどんなゲームなのかについては、以前の記事をご覧あれ。

Jアノンとなって、ファクトチェックを邪魔しろ!

まずは、シナリオを選択。タイトルはずばり「フェイクニュースアップデート」!難易度は「Easy」をチョイス(表示される説明がウイルスのままですが、そのうち訂正されるでしょう)。

「伝染病」の名前は、アメリカ極右の陰謀論Qアノンに習って「Jアノン」とでもしておきます(”J Sent Me!”『Jが私を遣わしたのだ!』確かにアレは伝染病…)。最初に騙す国として日本を選択。英語圏ではないので拡散には不利なはずですが、人口もそここ多く、インターネット利用率も高い国。ハイコンテクストな文化なのに、文脈が理解できない・しない層も増えているので、何とかなるかもしれません(Easyモードだし)。

ということで、スタート!不穏なBGMのループが懐かしいですが、まず、この一文に痺れます。

フェイクニュース。デマ。嘘。好きに呼べばいい。
あなたは世界を欺き、人々はそれを信じるようになるのだから。

続いて、「マニフェスト」を作ります。これは、伝染病シナリオだとその特徴を規定する「伝染」だった項目。つまり、どんなフェイクニュースにするかという性格付けですね。

歴史や文化、医療など、いろいろな項目があります。下に3つパラメーターが表示されますが、「拡散力」なら「テクノロジーフェイクニュース」、「妥当性」なら「科学フェイクニュース」、「コミュニティ」なら「有名人フェイクニュース」が高いようです。影響力が大きいだろう「政治フェイクニュース」を選んでみます。対応を後手後手にしたり、拡散キャンペーンやったり、自粛を空気で強制すればOKのはず。「広告代理店」という項目が見つけられませんでしたが、これってバグなのかな…?

続いて、その「発生源」をチョイス。「大企業」「ジャーナリスト」「ホワイトカラー」などがありますが、ここは拡散力を期待して「テクノロジー企業」にしておきます。トリミングしたビデオや、ハッシュタグが作用するでしょう。

さらに、「動機」を選択。「退屈」「荒らし」「金融上の利益」「民主主義の弱体化」と、魅力的な選択肢も並びますが、総合的・俯瞰的に判断して「政治的利益」でよさそう。「非難の対象」は、標的にしやすい「有名人」をターゲット。『歌手だから、政治のことはわからないと思いますが…』とか、『元の売れない俳優崩れのくせに、政治に口出しするな!』として拡散するはず。

これで「マニフェスト」が完成!一度設定すれば、後はそのままでOKのようです。

「成長率」をコントロールしながら、ウソを広める

「マニフェスト」を最大限に活かすため、「成長率」をコントロールしていきます。

伝染病シナリオの時は、十分な「感染力」で広がらないうちに「危険度」や「致死率」を早めに上げてしまい、人類に気付かれて、スピーディーなワクチン開発で失敗しました。今回は、今のところ「Jアノン」の存在に人々はまだ気付いていないので、注意しながら慎重に進めます。

まずは「口コミ」で「テレビ・ターゲティング」と「インターネット」を使います。ワイドショーで自称専門家を出演させたり、不都合なニュースの尺を芸能人の不倫で埋めれば楽勝だと思います。さらに、『テレビに出てるゲストがこんなことをいっていた!』というのがネットでバズれば、相乗効果が得られるはず。切り取られていようがいまいが、事実だろうが嘘だろうが、とにかく広がればいいんです。

マップ上には、伝染病シナリオの時と同じように「DNAポイント」が表示されるので、すぐにタップして「資金」を貯めていきます(「リソース」の方がしっくりくるイメージ)。航空機や船舶が盛んに行き来しますが、ネットワーク図だったらよかったのに。

次に、「インフルエンサー」を利用し「メディア展開」しましょう(メタファー的だったこのインフルエンサーというネーミングも、今にして思えば本当に絶妙…)。買って水増ししておいた海内外のフォロワーが、ここで役立ちます。もちろん「ソーシャルメディア展開」し、キラキラ投稿の間にフェイクニュースを混ぜれば、疑われることもありません。どうせ、ニュースも見出ししか読まれませんし、タップしてソースを確認する人なんてごくわずか。

資金が許すようなので、さらに「ボット・ネットワーク 1」でBOTも併用。香ばしいハッシュタグをいくつか登録し、自動フォローするとかいいですね。「偽専門家を雇用」し、テレビ出演させたり、雑誌に寄稿し、ゴーストライターに本を量産させ、YouTubeチャンネルを開設すれば、インパクトは大きいはず。

設定が上手くいったのか、世界各地で騙される人が徐々に増えてきました。なお、この段階でもまだ「Jアノン」の存在はまだ気付かれていません。しめしめ、この調子…。

「適応力」もアップし、エコーチャンバーで増強していく

「成長率」と同時に、変化に合わせて「適応力」もチェックしていきます。まずは、Twitterで「意地悪なツイート」で何かを・誰かをdisっておきます。分かりやすいターゲットを設定すれば砲火が集中、エコーチャンバー(残響室)の中でどんどん反響が大きくなるので、ファクトチェックを邪魔する目くらましとして最高です。

と、調子に乗ってやりすぎたせいか、「政治フェイクニュースに関する懸念」が高まってしまいました。まずい、もうちょっと慎重に…とはいいつつ、不都合なところは「データ改ざん」を指示しましょう。開示請求があっても、黒塗りで返せばセーフ。

事実を指摘したり問題視するような目障りな人物は、「ディープ・フェイク」で社会的評価を貶めておきましょう。軽く犬笛を吹きさえすれば、後は暇なフォロワーが率先して「批判する人間に嫌がらせ」してくれます。一気に拡散するはずですし、後から訂正しても最初のデマほど広がらないので、やったもん勝ち。

ファクトチェッカーなりすまし」によって、もう一つの真実であるオルタナティブファクトをでっち上げるのも重要。こちらも拡散力抜群です。フェイクニュースもしつこく連呼すれば、「フェイクニュース乗っ取り」が可能です。

ここで「フェイクニュースグラフ」をチェック。順調に拡散しています。グラフの軸の数字が左右反転されているのを見て『やるねぇ、シニカルだな!』と思っていましたが、これはバグのようw

生かさず殺さずの、メディアコントロールがカギ

この調子でどんどんプレーしていけばよさそう!

政治家が賛同」すれば妥当性が上がるようなので、与党と野党の中間「ゆ党」議員や、再登板を狙う元政治家を買収しましょう。ブログの過去記事を削除したり、昔の著書を絶版にするのは必要な対策。ボロが出ないように、記者会見はできるだけ避け、何かツッコまれても『その指摘は当たらない』だけでOK。

ファクトチェックを妨害するには、「知識を持っている人々に嫌がらせ」も有効です。『嫌みなインテリだ』『少しは勉強してください』という、反知性主義マウンティングは定番。BLMの時のように、逆差別を訴えて「偏見を非難」するのも合わせ技で加えておきます。

さて、ここまでの作戦もハマったようで、日本では2/3以上の人々を騙すことに成功しました!ただ、世界各国の政府に懸念が拡がり、ファクトチェックも進んでいるので油断できません。

ファクトチェックを実施しているメディアや組織、それを支援する企業に対して「ボイコットを計画」しましょうか。取引先や出資元、広告主などに圧力を掛ければ、ソフトに・ハードに恫喝できます。また、ソーシャルネットワークではなく「P2Pメッセージ」でデマを拡散すれば、ファクトチェックのターゲットにはなりません。リストさえあれば、プライベートチャットで直接送りつけられますし、リテラシーが低いユーザーも普通にいるはずです。

批判的なメディアやファクトチェッカー組織内部に不満分子がいれば、「反対勢力に出資」することで、敵対勢力の内部闘争や分裂につなげられるかもしれません。疑心暗鬼だけでもボディーブローのようにじわじわ効いていきます。「専門家不信」もいい戦略。従順な専門家以外は、任命拒否してしまえば問題なし。ストレート過ぎる物言いや、服装・髪型のセンス、好きらしい音楽や映画に難癖を付けたり、本業に関係ないところを締め上げればOK。フェイクは、残った専門家によるお墨付きなので、妥当性も向上します。

いろいろやって、世界の約1/4を騙すことはできましたが、ファクトチェックも36%まで進んでいます!ここから最後の仕上げに向けて、畳みかけましょう。

ちまちま番組を作るぐらいなら、「テレビネットワークを買収」する方が効率的。息が掛かったスポンサーやタレントを使って、バラエティーや通販番組をどんどん垂れ流せます。『誤解と偏見に満ちたファクトチェックによって、こんなにも多くの人たちが苦しんでいる!』として、「被害者リストを拡大」も忘れずに。感動と怒りのストーリーに仕立て上げるには、BGMは必須ですね。

全世界は、ついにフェイクニュースに屈した…

ここで、我々は次のステージへと進化を遂げます。それが、AIの導入です!人工知能によって、効率的にファクトチェックを押さえ込みつつ、一気にフェイクをブーストできます!世界の約40%を騙すことに成功していますが、過半数を獲得すれば、もうフェイクニュースは誰にも止められません。

世界地図を見ると、赤い点に埋め尽くされた場所が増えてきました。人々は段々、ファクトチェックに疲れてきているはず。『あのファクトチェック自体がおかしい!』と「情報源中傷」によって、「ファクトチェッカーのファクトチェックは誰がするんだ問題」を提起しましょう。「モラル・パニック誘発」させれば、無力感はさらに高まります。複数のフェイクニュースは、「デマ統合」することによって何倍にも膨らみ、ファクトをさらに隠します。

世界の半分以上を騙すことに成功しました。「非難の対象リストを拡大」して、反対する作家やアーティスト、企業人などをどんどん生け贄にしていきましょう。ダメ押しとして「新聞を買収」しておくのも大事。経営層は政治家との食事会に行かせ、不満がある記者は政治部から文化・科学部の窓際や、失敗したデジタルメディア系子会社に追いやります。クロスオーナーシップで、テレビ局にも影響が及ぶから安心でしょう。さらに「当局を挑発」して分断と憎悪を煽れば、法整備の再考の機運も高まるはず。従わない官僚は、バンバン飛ばせばいいんです。

社会を居心地のいいフィルターバブルが覆い、「Divide and conquer(分割して統治せよ)」の通り、分断と孤立に成功しました。模倣犯も次々に現れ、いくつかのファクトチェッカーは、ついに反証を断念するに至りました…。

今、現実に起きていることが攻略になっている、この恐怖

こうして「Jアノン」は全世界へ拡散し、276日で全人類を騙すことに成功しました。ファクトチェックも8%にまで後退させ、事実検証を求める人々はすべて粛正されました。もはや、『Jアノン信者に非ずば、人に非ず』。

世界を覆い尽くしたフェイクニュース
ついにフェイクニュースが世界を覆い尽くし、知性は敗北…

…と、途中途中に、ゲームにはないパラメーターも微妙に補完してみましたがw コレって全部、現在進行中のリアルじゃないですか!人は、ファクトに基づいたものを信じるのではなく、信じたいものを信じ、それをファクトに置き換えていくのだということが、しっかり証明されました。

ところで、リアルな米作シミュレーションとして、「天穂のサクナヒメ」というゲームが話題になりましたよね。そのクオリティーは、実際に農業をしている人に『仕事の続きをやっているようで、辛い…』といわせ、公式攻略ハックとして、農林水産省のサイトが人気になるほどのレベル。
私はまだプレイしていないんですが、それを連想させるような、リアルライフの出来事がそのまま活きる(活きてしまう)、フェイクニュースとファクトチェックというシナリオでした。

昨年の秋、このPlague Inc.を開発したNdemic Creations社の新ゲーム、The Cureがアナウンスされていました。感染予防や治療を目的とした、Plague Inc.の追加シナリオとして発売される話も見た気がしますが、現実がゲームを上回るスピードの中で、その規模ではなくなったんでしょうね。いろいろ考えただけでも気が重くなりますが、これにも期待しておきます。

突然ですが、最後に大喜利!

コロナウイルス対策と掛けて、アメリカ大統領就任と解きます。
その心は?
どちらも、迅速かつ安定した「こうたい」が待たれます。

お後がよろしい…んでしょうかね?本当に 🙁