
新型コロナウイルスへの対策から、初のオンライン開催だった2020年6月のApple WWDC(世界開発者会議)から4ヵ月。新しいmacOS Big Sur 11.0の正式リリースも間近です。アップグレードは、OSのファイル構造やUIが変わることがあって、バグの修正などのアップデートよりも、仕事に大きな影響を及ぼすこともあるので、慎重な操作が必要です。そこで、今のうちにmacOSをアップグレードする時の注意点を紹介しましょう。
私の場合、セキュリティーリスクへの対応が必要な時を除いて、複数のデバイスをすべて同時にアップグレードすることはまずありません。動作の安定が確認できた一定期間を開けて、順にアップグレードするようにしています。プロスポーツチームが、移動する選手を複数に振り分けてリスク管理するのと同じです。いわゆる冗長性というヤツ。
それでも、大失敗してしまい、誰からも見つからない場所へ永遠の旅に出たくなったことも、一度や二度ではありません…:'( 重要な作業こそ、慣れているつもりのユーザーこそ、基本のステップを着実かつ冷静に進めて、アップグレードという新しい景気が見られる旅を、安全かつ自由に、楽しくエンジョイしましょう。
このノウハウを知っていると幸せになれる人
- 個人ユーザーで、Macのアップグレードに自信がない人
- いつもは人任せだったのが、テレワークで自分でアップグレードしなければならなくなった人
- 過去、Macのアップグレードや、そのサポートで痛い目に遭った人
- 情報システム部門がないような、小規模ビジネスの人、ひとり情シスのエンジニア
アップグレード前にやっておくこと
仕事でMacを使っている場合には、リリースされてすぐにアップグレードすることが妥当か、慎重な判断が必要です。例えば、macOS Catalina 10.15では、Widgetsや32 bitアプリケーションが動作しません。また、オンラインバンキングのような金融系サービスやプリンタードライバーなどは、OSが正式リリースされて一定期間を経ないと、動作確認環境になりません。アプリケーション本体は対応していても、プラグインやシステムファイルが未対応な場合もあります。
また、アップグレードで動作しなくなったアプリケーションがあるからといって、元に戻すダウングレードは、とても手間が掛かるだけでなく、さらなるリスクが伴います(戻したからといって、また同じように使えるとは限らないのは、ドコモの通信障害などで証明済み…)。
必ずやろう!
- アップグレードすることで、動作しなくなったり、制限を受ける影響の内容や範囲を情報収集する。特に、頻繁に使うアプリケーションや、仕事で必ず使わなければならないユーティリティーやドライバーは、OSのバージョンによっては動かない。場合によっては、仕事にもプライベートにも大きな影響があるので、必ず事前に確認しておく。
- 取引先とやり取りするフォーマットや入稿規定なども、念のために確認する。
- アップグレードのためのスケジュールや作業時間を確保する。大きなプロジェクトで複数のメンバーが関わっている場合や、イベントや出張が予定されている時は、特に慎重に。
- Time Machineで最新の状態をバックアップする。
- そもそも、デスクトップにファイルやフォルダを置かない。
- 複数のMacがある環境なら、すべてを一度にアップグレードせず、影響を受ける範囲を切り分けながらチェックする。
- Apple関連情報を提供しているニュースサイトやアカウントのフォロー(@kotobatoのフォローもよろしく;))。
該当していたらやる
- iPhone/iPadをバックアップする(ミュージック.app(旧iTunes)の設定と操作で、ローカルのMacまたはiCloudへ)。
- Dropboxなどのクラウドサービスを使っていたら、必ず、最新状態に同期する。
- 外付けのドライブやメディアにバックアップする。
- USBメモリ等にインストーラーのバックアップを取っておく場合は、「アプリケーション」フォルダにダウンロードされた、OSのインストーラーをコピーしておく。
アップグレード後すぐにやること
必ずやろう!
- FileVaultの設定を確認する(オンにするとある程度時間が掛かるが、バックグラウンドで処理される)。
- iCloudのアカウント設定を確認する。
- Time Machineで最新の状態をバックアップする。
- iPhone/iPadをバックアップする(一旦、ミュージック.appでローカルにも手動バックアップした後、iCloudに自動バックアップするように設定するのがオススメ)。
- ミュージック.appのデバイス認証と動作確認(場合によっては、ライブラリをアップデートする必要があって、時間が掛かることも)。
- 写真.appの動作確認(これも、場合によってはライブラリのアップデートが必要)。
- 主要なアプリケーションを一通り起動してみる(ライセンスの再認証やアップデート、セキュリティー設定などの動作検証)。
- プリンターやスキャナーを動作確認する。
できればやった方がいい
- メールボックスを再構築する(それなりに時間が掛かる)。
- Time Machineでバックアップを暗号化する(こっちも時間が)。
- 連絡先やブックマークを整理する(一番時間が掛かるのはこれ!)。
- 動作しないアプリケーションをリストアップし、AppCleanerなどで削除する(必要なら、代替サービスを検討する)。
該当していたらやる
- iCloudやDropboxと連携するアプリケーションで、同期された内容を確認する(1Password/Byword/その他)。
- Dropboxは、必要なフォルダだけ選択同期して、ローカルに常に置いておかなくてもいいデータは、スマートシンクする。
- 設定をアップデートしたり、ライセンスを再認証する。
(例:Adobe Creative Cloud/Microsoft 365/ATOK/VitrualBox/Splashtop/GPG/Prey/Cyberduck/セキュリティー系ツール/その他)
アップグレード後、しばらくしてからやること
- システムのアップデートを確認する(すぐにマイナーアップデートがリリースされることあり)。
- 新しい環境に問題がないことが確認できるまで、しばらく様子見。
- 古い環境設定ファイルのクリーニング。
- アプリケーションやユーティリティーのアップデート。
Time Machine用なら、こういうポータブルタイプが場所も取らずに静かでいいですよ。