AIに夏休みの読書感想文を書いてもらうのは、まだ無理っぽいけど…

夏休み終わりの風物詩といえば、『子どもの夏休みの宿題を手伝わなければならず、今年もこれから大変…』という嘆きの声。そんな、知り合いの溜息が漏れ聞こえる時期になりました。そんなわけで、AIによる文章の自動生成に、凝りもせずチャレンジしてみました。私の夏休みの宿題のひとつ。

最初にいっておきますが、お母さん・お父さん、ご兄弟・姉妹やご家族の皆さん!子どもに本当に読書感想文を書かせたいなら、1冊でも、どんなジャンルでも、薄くてもいいので、ちゃんと本を読ませる方がオススメですw ただし、ありがちな読書感想文じゃないアウトプットで。読書感想文については、いろいろいいたいことがあるので、それはまた今度。

人気も実績もある本をチョイス

まだまだサービスの品質が心許ないので、今回の実験ではこういう緩めの条件を設定してみました。

  • 情報がある程度豊富にインデックスされていることが期待できる、2000〜2020年の本。
  • 同じ理由で、マイナーな本ではなく、そこそこ売れた本の中から選ぶ。
  • 高校生・大学生(または一般)を対象とした本からチョイス(恐らく、小中学生など低学年向けの方が高難度)。
  • できれば海外本の翻訳だと、精度が上がると期待(日本で出版された日本語だけの本は厳しいはず)。
  • 生成される文章を判断できるように、私が読んだことがある本。
  • コミックや雑誌、絵本、写真集は対象外。

これらの条件で選んだのが『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』です。日本では2019年に翻訳が発売され、2020年の年間ベストセラー1位。日本で100万部突破、世界で300万部の大ベストセラーです。日本出版販売(株)の2020年間ベストセラーの中で、私が唯一読んだことがある本として選びました。

FACTFULNESS(ファクトフルネス)
—10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
ハンス・ロスリング/オーラ・ロスリング/アンナ・ロスリング・ロンランド著 上杉周作訳

まずは、ELYZA Pencil(イライザペンシル)に軽く書いてもらう

最初に、東大松尾研究室の「ELYZA Pencil(イライザペンシル)」というサービスを試してみます。ただし、一般のユーザーが無料で試せる言語モデルは、デモンストレーション用の小さなモデルなので、そこまで高い精度ではありません。

15文字以内 x 最大で8個までキーワードを設定できますが、エラーになったので6個で再チャレンジ。

【入力したキーワード】
ファクトフルネス/事実/データ/思考/思い込み/課題解決

【結果と評価(5点満点)】

前に試してみた時の印象も遊びの域を出ない感じでしたし、まぁこの程度でしょう。ビジネス用がどの程度の実力なのか、興味はあります。

タップリ説明して、Catchyに書いてもらう

次は、最近試しているCatchy。OpenAIのGPT-3を使った、日本語の文章生成サービスです。『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』は、当時、日本でもいろんな人があちこちに書評を書いたので、公式の情報以外にもリソースはある程度充実しているはず。それなりの結果が得られることを、期待してもよさそうです。

【入力したタイトルと導入文】

データや事実に基づいて世界を読み解くファクトフルネス

著者のハンス・ロスリング氏はスウェーデンの医師、公衆衛生学者。彼は、人間は先入観や固定概念に影響される生き物であり、本能が引き起こす思い込みに囚われがちだと指摘する。

分断本能―世界は分断されている
ネガティブ本能―世界はどんどん悪くなっている
直線本能―世界の人口はひたすら増え続ける
恐怖本能―危険でないことを、恐ろしい
過大視本能―目の前の数字がいちばん重要だ
パターン化本能―ひとつの例がすべてに当てはまる
宿命本能―すべてはあらかじめ決まっている
単純化本能―世界はひとつの切り口で理解できる
犯人捜し本能―誰かを責めれば物事は解決する
焦り本能―いますぐ手を打たないと大変なことになる

専門家や学歴が高い人、社会的な地位があり、賢い人たちほど、自分でも気付かないうちにバイアスが掛かって考える傾向が強い。
しかし人は誰でも、データを冷静に読み解くことで、事実に基づき世界を正しく見るスキルが身につく。それは、教育や貧困、環境、エネルギー、人口など、社会が抱える問題解決のヒントとなる。TEDでのプレゼンテーションも人気。

【入力した見出し】

  1. 自分の思い込みをチェックしてみた結果
  2. 思い込みを引き起こす、人間の10の本能
  3. データや事実に基づくのがファクトフルネス
  4. この本を読んで、私が具体的に実践していること

生成された文章1

ファクトフルネスデータ・事実に基づいて世界を読む

今回は、スウェーデンの医師であり公衆衛生学者であるハンス・ロスリングが提唱する「ファクトフルネス」という概念について解説します。人間は先入観や固定観念に影響される生き物であり、本能に端を発した思い込みにとらわれがちであるという考え方を探ります。また、専門家、高学歴者、社会的地位の高い人、頭のいい人ほど、気づかないうちにバイアスのかかった考え方をしがちであるという考え方も取り上げます。最後に、データを冷静に読み解き、事実に基づいて世界を正しく見るスキルは、すべての人が身につけることができるという考え方について説明します。

1.思い込みをチェックした結果
ロスリングが著書『ファクトフルネス』で提唱した重要な考え方の一つに、人間は先入観や固定観念に影響される生き物であり、本能に端を発した思い込みにとらわれがちであるという考え方がある。このような本能が、私たちを取り巻く世界について不正確な推測をさせることがあると指摘しています。このような不正確な思い込みに対抗するために、ロスリングはデータを冷静に読むことを提唱しています。思い込みに支配されることなくデータを読み解くことで、私たちを取り巻く世界をより正確に理解することができると提案しています。

2.思い込みを生む10の人間の本能
ロスリングは著書の中で、私たちが周囲の世界について思い込んでしまう原因となる人間の10の本能を挙げています。これらの本能とは

分裂の本能:世界は分裂している。
否定的な本能:世界はどんどん悪くなっている。
直線的な本能:世界の人口は増え続けている。
恐怖本能:それほど危険でないことが怖い。
過大評価本能:目の前にある数字が一番大事。
パターン化本能:一つの例が全てに当てはまる。
運命本能:全ては決まっている。
単純化本能:世界は一つの方法で理解することができる。
犯人探し本能」:誰かを責めれば物事は解決する。
衝動本能」:今何かしないと大変なことになる。

ロスリングは、このような本能が、私たちを取り巻く世界について不正確な推測をするように仕向ける可能性があると指摘しています。このような不正確な思い込みに対抗するために、彼はデータを冷静に読むことを提唱しています。思い込みで判断を鈍らせることなくデータを読み解くことで、私たちを取り巻く世界をより正確に理解できるようになると提案しています。

3.ファクティネスはデータと事実に基づいている
ロスリングが著書『Factfulness』で提唱した重要な考え方のひとつに、人間は先入観や固定観念に影響される生き物であり、本能が引き金となって思い込みにとらわれがちであるという考え方があります。彼は、こうした本能が、私たちを取り巻く世界について不正確な推測をさせることがあると指摘しています。で

【結果と評価(5点満点)】
x
今回も、導入文で書いたことの繰り返しが主体で、新しい要素が何もありませんでした。約1,200文字と文字数はそれなりですが(生成時に指定できない)、文末や約物(記号など)の処理も不自然です。「4. この本を読んで、私が具体的に実践していること」が丸無視なのもマイナス。

簡単な要約とキーワードで、Rytr+DeepLに書いてもらう

AIライティングサービスとしては、今のところRytr(ライター)の結果が好印象です。それでも、必ずしも実用に耐えられるクオリティーではなく、一般に公開されているエビデンスをきちんと参照できず、嘘が多いのも事実。日本語訳なら、DeepLで翻訳するのがよさそうです。

今回は、書評なら「語調:批評的に」を使いたいところですが、前回テストした時の設定がかなり良好だったこともあるので「語調:熱狂的に」で試してみました。原書のタイトル「Factfulness: Ten Reasons We’re Wrong About the World – and Why Things Are Better Than You Think」も、ほぼそのまま参照してみます。

【準備と生成】
出力言語:英語
語調:熱狂的に
目的:ブログ記事
生成レベル:最適

セクショントピック(最大125文字)
About the book I read Factfulness: Ten Reasons We’re Wrong About the World and Why Things Are Better Than You Think

セクションキーワード(最大125文字)
Factfulness,Hans Rosling,fact,instinct,perspective,problem,bias,tendency,unconscious,data,view,problem,logical,solution,TED

生成された文章2

Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About the World and Why Things Are Better Than You Think is a book about how we can use data to understand the world. The book tries to show people that there is more good in the world than bad. It talks about ten reasons why we are wrong about the world and why things are better than you think.
The author of this book, Hans Rosling, was a Swedish physician, professor of international health, statistician and public speaker who died in 2017. He developed a program called Gapminder which lets you see how living conditions have changed over time on an interactive timeline. He used this program to show people that there is more good in the world than bad.
(DeepLの翻訳)
ファクトフルネス Ten Reasons We're Wrong About the World and Why Things Are Better Than You Think」は、データを使って世界を理解する方法について書かれた本です。この本は、世の中には悪いことよりも良いことがたくさんあることを人々に示そうとするものです。この本では、私たちが世界について誤解している10の理由と、物事はあなたが考えているより良いものである理由について述べられています。
本書の著者であるハンス・ロスリングは、スウェーデンの医師、国際保健の教授、統計学者、講演者であり、2017年に亡くなりました。彼は、生活環境が時代とともにどう変化してきたかをインタラクティブな年表で見ることができる「ギャップマインダー」というプログラムを開発しました。彼はこのプログラムを使って、世界には悪いことよりも良いことがたくさんあることを人々に伝えました。

【結果と評価(5点満点)】
★★★★
著者のプロフィールが詳しく書かれていたり、すでに故人であることや、開発したプログラム(=設立した財団)Gapminderについても追記されたのは好印象。本当はここに、この本を読んで自分がどう感じたかや、どう行動したかを新しく生成してほしかったんですが(自分で本当にヤレ)、文字数の関係で設定できなかったので、そこは仕方ないでしょう。

生成された文章3

Factfulness is a book by Hans Rosling, a Swedish medical doctor and professor of international health. The book is based on a talk he gave at the TED conference in 2017.
Rosling argues that substantial parts of our society are not rational and that we are in many ways living in an illusion. He provides ten reasons for why this might be the case and why things may not be as bad as we think they are. He shows how some of these illusions come from our human instincts, which can lead us to make wrong conclusions or fail to see what is really happening around us.
(DeepLの翻訳)
ファクトフルネス』は、スウェーデンの医学博士で国際保健学の教授であるハンス・ロスリングの著書です。本書は、彼が2017年にTEDカンファレンスで行った講演がもとになっています。
ロスリングは、私たちの社会のかなりの部分は合理的ではなく、私たちは多くの点で幻想の中で生きていると主張する。彼は、なぜそうなのか、なぜ物事は私たちが思うほど悪くないかもしれないのか、10の理由を提示します。彼は、これらの幻想がいかに人間の本能から来るものであるかを示し、それが間違った結論を出したり、私たちの周りで実際に起こっていることを見過ごすことにつながる可能性があると述べています。

【結果と評価(5点満点)】
★★★★
同じ内容の繰り返しにならず、この本のベースになったTEDのカンファレンスまで参照したのは、評価が高いですね!

生成された文章4

Factfulness is a book by Hans Rosling, professor of international health at the Karolinska Institute in Stockholm and co-founder of the Gapminder Foundation. It is based on his TED talk with the same name.
The book discusses the ten instincts we all have that keep us from seeing the world as it truly is. These instincts are what make us wrong about world poverty, inequality, and progress. Rosling's goal was to use data to show how global trends are changing for better or worse and to offer a more nuanced view of reality than our instincts would lead us to believe.
The book argues that we need to be more aware of our own mental biases when evaluating statistics in order to make better decisions.
(DeepLの翻訳)
ファクトフルネス』は、ストックホルムにあるカロリンスカ研究所の国際保健学教授で、ギャップマインダー財団の共同設立者であるハンス・ロスリングの著書です。同名のTED講演が元になっている。
本書は、私たちが世界をありのままに見ることを妨げている、誰もが持っている10の本能について論じています。これらの本能は、世界の貧困、不平等、進歩について私たちに間違いを起こさせるものです。ロスリングの目標は、データを用いて世界のトレンドが良くも悪くも変化していることを示し、私たちの本能が信じ込ませるような現実とは異なる、よりニュアンスのある見方を提供することであった。
本書は、より良い意思決定を行うためには、統計を評価する際に自分自身の精神的な偏りをより意識する必要があると主張している。

【結果と評価(5点満点)】
★★★★
「ギャップマインダー財団」にも触れられていますし、先に生成した2つのテキストも、それぞれさらに文章を拡張したり、3つ全部をまとめて一つの文章として編集すれば、かなりいいテキストになりそうな気がします。


宿題の外注ビジネスがある現代。今回の結果だと、Rytrで何パターンかある程度の文字数を生成し、DeepLで日本語にしながら、まとめていけば、2,500文字ぐらいはすぐに書けそうです。そこに自分なりの疑問や気づき、経験談っぽい文章でも適当に交えれば、そこそこ読書感想文としてのそれなりの体裁は作れるでしょう。

ただね、この本に限らず、一つの成果物をテーマに誰かと対話や議論したり、複数人でディスカッションしたりはとても無理。薄っぺらさがすぐバレるはずです。捏造に手間暇を掛けるぐらいなら、薄くてもいいから一つの本を何度もじっくり読んで、それについて自分の言葉で、血と肉で文章を書く方が、比較にならないほどの体験になることは間違いありません。ただ、読書感想文らしい読書感想文を捏造してどーする!

私は、ゴーストライターをやるよりは、もっと楽しい関わり方が提案できます 😉

kotobato

いろいろなテキストを書いたり、デザインに関するクリエイティブワークをやってます。ソーシャルやインストラクションもお任せ!どうぞお気軽にお声掛け・ご相談ください。
https://drift.me/kotobato
https://www.kotobato.jp/inquiry