
ここ最近、シェア電動キックボードが話題になっています。手軽な次世代モビリティーとしてというより、事故やマナーが指摘されています。つまり、感じるのは爽快な風だけでなく、結構強い向かい風。とはいえ、以前から体験してみたかったので、今回、やっと乗ってみることができました。
シェア電動キックボードって、どんなの?
試してみたのはLUUP(ループ)。日本国内で一番普及しているシェア電動キックボードのサービスで、水色のブランドカラーをよく見掛けます。2023年10月時点で、横浜や宇都宮、名古屋、大阪、京都、神戸、広島などで展開しています。
- スマホアプリで手軽に借りられる、ハンドル付きの電動式スケートボード型移動デバイス。
- 都市部や観光地を中心に、国内外の各地でLUUP以外にもいろいろなサービス事業者が展開中。
- 加速は、グリップを回すかアクセルレバーを押すだけ。戻すか、レバーを握ってブレーキ。練習無しですぐに乗れる手軽さが便利。
- 車輪は小さなゴムタイプ。車軸にサスペンション無し。
- 日本国内では、2023年7月の道路交通法一部偏向で緩和され、自動車運転免許不要、ヘルメットは努力義務、最高速度が20 km/h、原則車道走行に。
- LUUPは、キックボード型と自転車型の2種類の車体(なぜか機体と呼称)あり。基本料金50円と15円/分(税込、地域や期間で異なる)。
- LUUPのようなシェアタイプとは別に、大型家電量販店やディスカウントストアなどで、電動キックボードは一般に販売もされている。装備にもよるが、12万円程度から。
ちなみに、福岡市では2021年4月から、同種のサービスmobbyが実証実験として展開されていました。最近、見掛けないし、一部のポートが無くなっているなと思っていたら、2023年6月末で実験が終了していました。興味はとてもあったんですが、結局、体験しないままでした。その理由も最後に。
シェア電動キックボードを使うと幸せになれそうな人
- 公共交通機関やシェア電動サイクルが無い地域の、ちょっとした移動をしたい都会人。
- 普通自動車運転免許がなく、スクーターには乗れない人。自転車も持っていないミニマリスト。
- 大きな荷物や、サポートが必要な同行者がいないソロユーザー。
- シンプルに、一度は試したい乗り物好き!
シェア電動キックボードの、ココがいい!
- 自転車やスクーターとは違う、新しいモビリティー体験が楽しい!
- 自力で漕がなくていいのが、本当に楽。特に、上り坂!
- 乗り方も簡単で、練習なしですぐ乗れる。スケートボードやスノーボードを未経験でもOK。
- シェアサイクルは、ポートに返却されずに放置されていることも多いが、シェア電動キックボードは今のところそこまで酷くない。
- LUUPは、ポートマップをデスクトップでも見られる(一部のシェアサイクルは、モバイルアプリからしか見られない)。
シェア電動キックボードは、ココが問題だったり要注意!
どうしてもネガティブな情報が多目になってしまいますが、これをちゃんと知っておくのとしないのでは、大違い!
- ルールやマナー整備が追いついておらず、社会問題化も。接触や死亡事故の例も。シェアサイクルでも同様の問題は指摘されていたが、それ以上(それでも推進されているのは、政治屋のライドシェア利権というきな臭い香りも…)。
- 路面の段差や衝撃を受けやすい。衝突事故を起こした時は、自転車よりも危険かも。かといって、わざわざヘルメットやグローブ、プロテクターを自分で用意してまで乗ろうという気にはなれない。
- 朝の通勤や通学時間帯には、郊外のポートはほぼ出払ってしまっているはずで、定期的な利用には向かない(同じエリアには、大体、他社のシェア電動サイクルも使われている)。
- 普及エリアは、シェア電動サイクルと重複していることも多いが、コストを比較するとそれほど安くない。1日使い放題プランがないので、長時間乗ると割高(LUUPは、3時間/12時間乗り放題プランあり)。
- レバーを押し下げる親指の付け根や、もしもの時を考えて身構えるポーズは、長時間だと疲れる。
- シェアサイクルなら、自分の座高に合わせてサドルの位置を上下させて調整できるが、キックボードはハンドルの高さを調整できない。身長175 cm以上の人が、長時間乗る用には作られていない。
- 自転車と比べて小ぶりに思えるが、実は重さはそれなりだったり、回転半径がそこそこ必要。
- カーブを曲がる時は、車体をバンクさせるのではなく、減速が基本。
- 体にフィットさせられない荷物がある時や、雨が降っている時には使えない(使わないことをオススメ)。
- アプリを起動して地図を表示しながらライドしていても、画面はあまりよく見えない(近眼老眼ライダーはさらに)。ピンチ操作も危険。
- アプリで表示されるルールのテストは、内容を正しく学習しなくても、初回で1回パスしてしまえば済んでしまう(これは、一定のライド回数か時間で再学習させた方がいいかも)。
- 自転車ほどの運動量にはならない。
- 走行中に公共Wi-Fiを拾うと、その登録画面が強制的に表示されてしまうことがある(これはWi-Fi側の問題)。
気分爽快で風を感じられる!でも風当たりも確かに強い
電動キックボードの危険性がいろいろと指摘されていますが、その一つは、事故を起こした時のリスクの大きさでしょう。例えば、JAFが丁寧に実験しているビデオを事前に見ておくのも必須だと思います。サービス事業者は、こんな警告はしませんから。
シェア型モビリティーサービスとしてのルールやマナーは、世界各地で問題になっています。歩行者や自転車との接触、歩道や細い道の高速走行などは、自転車でもさんざん問題になっていることですね。混雑した場所での高速走行や、交通法規違反の逆走などはペナルティーがあるべきですが、位置情報や速度検出の精度という課題もあるでしょう。現実にはまだ難しい気がします。
ひき逃げまで起きた電動キックボード、規制緩和に批判再燃 専門家「サービスが先行しすぎた」 – 弁護士ドットコム
パリでは結局、シェア電動キックボードが住民投票で撤去されました。溯ること2018年4月、サンフランシスコでは、Lime、BIRD、SPINというメジャー3社に、州法違反の業務停止が一時通告されたり。利用者の交通マナーの悪さに自己決定の意識の強さなども相まって、事故やルール無視の利用が問題になっていました。パリでは、代わりにシェア電動サイクルが導入されましたが、さてこの先、どうなることやら…。
パリで電動キックボードのレンタルが終了、住民投票の9割が禁止を支持 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
シェア電動キックボードLUUPの登録と使い方
詳しくは、LUUPの公式サイトやアプリをチェックするとして、実際に使ってみたユーザー視点で補足します。
事前準備
- モバイルアプリをスマートフォンにダウンロードして、アカウントを登録する。自分の居住地や現在地がサービス提供エリアでなくても登録可能。
- 電話番号やクレジットカード、本人確認証明書(キックボードを使わず、自転車だけの場合は不要)を登録する。
- ライドするには、選択式の簡単な交通ルールテストに全問正解しておく必要あり。
- 位置情報など、必要なプライバシー設定も(私の場合は、使う直前以外はオフに)。
- 使いたい場所の周辺にあるポートをざっと確認しておく。
利用と返却
- アプリで、使いたいポートの場所と車体、返却空きの有無をチェックする。キックボードか自転車かの種類は、「ポートをさがす」のアイコンをタップして絞り込める。バッテリー残量も要チェック。予約ができるのは10分前。
- ポートに行き、車体番号(ナンバー)を確認。乗りたい車体のハンドル部分にあるQRコードを、アプリで読み取ってロック解除する。
- 返却ポートを仮設定する(空きがあれば、返却直前に別のポートに変更可能)。
- スタンドを上げて、車体を動かす。車に注意しながら車道に出たら、地面を軽く蹴りながらアクセルレバーを下げてスタート。
- 交通ルールや路面の状況に注意しながら、目的地までライド。
- 返却ポートの指定された枠の中に駐車し、アプリで指定される手順に従って写真を撮影。車体やポートに問題があれば報告して終了。
- アプリで、ライドの履歴と詳細(日時、距離、時間、消費カロリー、料金、機体番号、クーポンの有無、スタートと終了のポート)を確認。